くまちゃん

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-02 震える幽霊のくまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

今作はシリーズ屈指の問題作と言えるのではないか。真野夕子や先生の存在、工藤の過去など後のシリーズに関する重要な要素を含むため、絶対外すことはできない。幽霊の調査は行方不明となった夕子を探す所から始まり、彼女の知られざる側面が徐々に明らかとなる。夕子は高木と交際しながら早苗の彼氏である倉田と浮気していた。さらにデリヘル嬢として働いていた過去があり、クラブで出会った女性とも交際していた。その証言の多くは夕子の性に関するものであり、ほぼ性行為の話しかしていない。

高木、倉田、夕子、早苗の四人は廃墟で震える幽霊に遭遇するが、早苗の慄き方が尋常ではなく、終始喚き散らしている。また工藤たちと再び現場を訪れた際は早苗も同行しずっと泣き喚いている。そんなに怖いなら来なければいいのに。
騒ぎ立てる早苗に対し現場がピリついているのが伝わってくる。宥める倉田も若干辟易しているようだ。

幽霊の存在を検証する際、市川を使うという工藤のビビリ性がここで露呈する。
さらに呪いにかかった青年たちを躊躇なく殴りつけ、前作で入手した呪いの髪飾りを使用するなど粗野で短絡的で暴力的な部分が顕になる。前作でも証言を拒否したホームレスに対し武力行使にでていたが、今作では女性にも容赦なく拳を振り上げ、それは市川に対して向くこともある。時代に逆行したマッチョイズム。

夕子は見つからず先生の正体もわからず、震える幽霊の謎も解明されないまま今作は幕を閉じる。謎は謎を呼ぶ。夕子は後にタタリ村で極秘に製造された鬼神兵の細胞から生まれた事が明かされる。鬼神兵は女性の赤子がベースとされる。夕子は鬼神となることでジェンダーをも超越してしまったのではないか。バイセクシャルとは両性具有として進化した未来の人類の姿なのかもしれない。
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