ひげしゃちょー

極道大戦争のひげしゃちょーのレビュー・感想・評価

極道大戦争(2015年製作の映画)
4.2
まず、市原隼人がヤヤン・ルヒアンに引けを取らずにアクションができていることに驚く。 これだけのアクションができる主演クラスの日本の役者は市原隼人しかいないのではないだろうか。「仁義の酒場 八尾の魂」という看板が下がった映画館の前での殴り合いは魂のぶつかり合いを感じた。 欲を言えばカエルくんとヤヤンの立ち回りも見たかった。 喧嘩アクション満載で出演者のほとんどがヤクザになるという非常にぶっ飛んだ内容なわけだが、ラストに至ってはなぜか巨大カエルが火を噴き町を破壊するというめちゃくちゃな展開。 リリー・フランキーの首チョンパ、耳から謎の液体を噴射する高島礼子、手の平で目玉焼きを作る市原隼人、カエルの卵を吐き出したらおたまじゃくしに孵化するという薄気味悪いシーンに至ってはインパクト大。 わざとチープにした特撮もおもしろい。 ただ、高島礼子の役は遠藤憲一がやったほうが良かったように思う。 系統としては『フルメタル極道』や『牛頭』路線で頭で理解しようとせずに体感する映画。 この映画が全国公開していることが奇跡に近い。監督が三池崇史で配給会社が日活だからこそ通った企画。 ヤクザ映画でもあり、アクション映画でもあり、スプラッターホラー映画でもあり、コメディ映画でもあり、怪獣映画でもある非常に稀有な映画。 ボロボロの状態でも成海璃子の血を吸う変わりにキスをして、誰かの思いが詰まったマントを羽織って狂犬に立ち向かっている市原隼人に男はこうあるべきという想いを感じた。 整合性も伏線の回収もあったもんじゃなく、その場の思いつきで撮影したかのような内容だけどこういう映画もあっていいんじゃないの。