すずきひろし

グリーン・インフェルノのすずきひろしのレビュー・感想・評価

グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)
4.3
金持ちインテリリベラルな若者達の政治参加の偽善性(ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー)というのは、日本に限らず普遍的な社会問題なのだな、と思いつつ、そういうイーライ・ロス本人の社会に対する問題意識だけを過剰に表現したりはせずにジャンル映画のフォーマットでエンターテインメントとしてキッチリ料理してみせる手腕は、イーライ・ロスの作家としての強靭さと成熟を感じました。

「ホステル」「アフターショック」と、物語の構造は全く同じで、前半のドラマパートで感情移入させた登場人物達を後半無慈悲に殺してゆく、といういつものパターンなのですが、直接的な残虐シーンは、比較的少なめ、殺される順番も意外性は無し、と、かなり控えめ、ある意味エンターテインメントとして良質ではあるのですが、野蛮人の顔が、ちゃんと野蛮人の顔をしてるのは、流石だと思いました(実際にアマゾンの原住民、みたいな人達を使っているみたいですね)。いくら野蛮な世界を描いていても、演じている人達に野蛮さが無かったら台無しになってしまう、そういうキャスティングが、本作の肝である、というのを、イーライ・ロスはちゃんと理解しているんですよね。

キャスティングといえば、前半にちょっとだけ出てくる、ちょっと病んだ感じビッチでノンポリな主人公の友人がいて、その子の方が冷静な視点を持っていた訳ですが、彼女のキャスティングなんかも、バッチリ決まってるんですよね。