菊

グリーン・インフェルノの菊のレビュー・感想・評価

グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)
3.3
青くしたたかな考えに、あり余る行動力と承認欲求。いわゆる意識高い系大学生らを皮肉るような展開だが、痛快というにはさすがに度が過ぎる。先住民が慣れた手つきでヒトを捌く様子に、いつか見せられた屠殺の映像を重ねてしまった。

多文化共生や異文化理解などのワードがカジュアルに使われるようになって久しいが、そのほとんどが「認めあおう」「尊重しあおう」と相互に働きかけを求める文脈で引用されている。たとえ国籍や身体的特徴が違えど、話の通じる相手ならよい。でもそれが、全く通用しない相手だとしたら?

もし先住民らの行動に歓迎の意が含まれていたのだとしても、違う社会で育った者が即座にそれを理解し、順応するのは難しいと思う。本作にはカニバリズムというわかりやすい記号があるが、これは文明人(あえてこう表現する)の間でも起こりうる話だ。我々は多文化共生や異文化理解を高らかに謳う反面、多文化や異文化の範囲を都合よく定めてしまってはいないだろうか。ショッキングな映像もさることながら、そんなことを考えて身を震わせた。
菊