レオピン

イントゥ・ザ・ストームのレオピンのレビュー・感想・評価

イントゥ・ザ・ストーム(2014年製作の映画)
3.7
POVショットやフッテージ風映像を盛り込んだ斬新な試み。災害パニックものでPOVというと『クローバー・フィールド』なんかが思い浮かぶが、パニックの原因とかどうでもいいから、とにかく極限状況にぶちこんでやれという強引なやり方もどことなく似ている気がする。

多元的な映像がコラージュ的に編まれているのが特徴的。タイムカプセル用ビデオに、ストームチェイサーの撮影者の映像、You Tuberのホームビデオちっくな映像。またタイタスの中のモニターやスカイプ画面だったり、はたまた高校の監視カメラ映像だったりと映像自体への言及がなされていて面白い。

脚本もまるでそれ自体がジェットコースターのようで、最初巨大な一発が来て惨憺たる光景を見せ、その後いったん静かになってまた盛り上げてというような波をうまく描いていた。

そんなパニック状況の中に危機感ゼロの人をポンと入れてくるっていうのも、中々新しいポイントだったのかもしれない(もちろんあのバカコンビね)。危機感覚ってどうしても人によって温度差あるもんね。

ストームチェイサーの新米ジェイコブ君には最初からフラグが立ちまくっていたが、案の定火炎竜巻に飲み込まれてしまった。焼かれたまま空に上昇していく場面。予告編なんかにはなかったがこの作品の一番のショット。

ドニーの父(リチャード・アーミティッジ)が大変カッコよかった。息子の通う学校の教頭で、オバマ大統領に似ている校長に頭が上がらないという設定だったがやる時はやるパパ。廃工場の地下で溺死寸前だったドニーとケイトリンちゃん(アリシア・デブナム=ケアリー)を見事に救出してのける。妻の死以来息子との関係に悩んでいたがこれでフッ切れた。たぶんこの後アリソンと、むふ。

一番魅力的だったのはストームチェイサーの隊長ピート(マット・ウォルシュ)。撮影のことしか頭にない自己チュー男だったが、最後に見せた漢気。撮影データを託してタイタスに乗り込み車を固定してみんなを守った。あえなく巨大竜巻に飲み込まれてしまうが、一瞬台風の目の中で見た天国の景色、それまでの険のあった表情があのやさしい顔に。きっと幸せだったんだろう、なむ。

振り返ってみれば、ジャンボ機さえ空に舞い上げるほどの巨大竜巻。そんな大嵐の前に卒業式を屋外で敢行しようとしていたシルバートン高校の教員たち。
二回目観たら「アホか、あんたは はよ逃げー!」とオカンのように叫んでしまいました。

(2019.6)
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