K助

イントゥ・ザ・ストームのK助のレビュー・感想・評価

イントゥ・ザ・ストーム(2014年製作の映画)
2.2
空港に並んだジャンボ機が竜巻に吸い込まれていく。そんな予告編を劇場で見た方もいるでしょう。映画の定番とも言える、ディザスタームービー。アメリカの田舎町を襲う史上最大の竜巻と、それを巡る人々を描きます。

登場するのは、主に4つのグループ。竜巻映像の撮影を生業としている竜巻ハンター、高校の教頭とその息子(次男)、教頭の息子(長男)と彼が憧れている女生徒、そして人気ユーチューバーになりたがっている酔っ払いたち。
この4グループをメインに物語は進行します。ディザスタームービーにありがちな「状況解説」や「神の視点」的なものは存在せず、あくまで現地の4グループが何を見て、何を体験したか、が映画の主軸となります。
そして、この4グループの特徴として、いずれのグループも映像を撮る事を目的としており、ビデオカメラを持っています。映画的なカメラワークではなく、いかにも個人が撮ったホームビデオ的な映像が、リアル感を増幅させていると言えるでしょう。

では、ディザスタームービーとしてはどうだったのか。正直なところ、あまり良い出来だったとは言えません。
ディザスタームービーの魅力の1つとして、想像を絶する被害をもたらす人類史上最大の(かもしれない)災害、の存在があげられます。今、目の前で発生している災害がどれくらいのものなのか、これからどんな被害をもたらすのか、その災害に対して人間はどう対抗するのか。そういった、俯瞰した神の視点としての解説役が必要です。しかし、この作品では、ホームビデオの映像を繋ぎ合せたような作りによって臨場感を出している反面、今どんな事が、何が起きているのか、これからどんな事が起きるのか、という説明がない為、どうしても災害規模が小さく見えてしまうのです。

製作者側もそれはわかっていたようで、地方都市に存在するとは思えない巨大な空港に、4発エンジンのジャンボ機を多数配置、それを竜巻に巻き込ませる事によって災害の大きさを表現しようとしているのですが、どうしてもとって付けた感が否めず、迫力よりは不自然さの要素の方が大きいです。
日本人的な視点で見れば、竜巻という、隕石の落下以上に馴染みのない災害をテーマにしている事も、今一つのめり込めない理由なのかもしれません。

あ、教頭の長男が憧れている女生徒の声をあてているのが、僕の大好きな声優さんである早見沙織嬢だったのですが、ラストの声の出演を見て、それと認識した次第。なんだこの人、普通っぽい声も出せたんですね。かすれたようなハスキーボイスしか引き出しのない人かと思ってました(苦笑)。
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