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劇場版 零 ゼロの鯵のレビュー・感想・評価

劇場版 零 ゼロ(2014年製作の映画)
3.0
【良かったところ】
・「霊を射影機で封印・撃退する」という原作のゲーム性ではなく、霊を封印した写真が引き起こす呪いの二次災害を描くという、原作の細かい設定を拾ったストーリー自体は万人受けするかどうかはさておき好き。

・学園ジュブナイル路線+フィルム撮影による懐かしめの画質&極力CGに頼らない演出など、良い意味で一昔前のホラー映画の風味が出ている点も好み。映像美もなかなか。

・百合要素の作り込みが凄い。ホラー的には全然怖くないが百合映画として見ると絶妙に背徳的かつ甘酸っぱい。主演二人も滅茶苦茶かわいい。



【悪かったところ】
・致命的に怖くない。脅かしや音系は極力避け、話の陰鬱さや映像の不気味さで勝負しに来たのは好感が持てるものの、残念なことにほとんど滑っている。

・原作シリーズで重要な役割を果たしてきた「麻生」姓キャラの扱いがおざなり。映画的には重要な役割を担ってはいたが、アレなら別にわざわざ麻生という姓にしなくても良かったのでは…?と思わずにはいられなかった。

・監督の趣味でねじ込まれた「黒鷺死体宅配便」のキャラ。多分本作一番の問題点。原案が大塚英志なのでコラボしたとのことだが、話的に存在する意義もねじ込んだだけの価値があったとも思えない。脚本繋がりのファンサービスとしてもやりすぎ。



【総評】
・「原作ストーリーの実写化」ではなく「原作の設定を使った外伝的作品」を実写でやったという印象。個人的にはそういう話の広げ方は非常に好み。

・しかし前提が細かすぎること、霊を射影機で撮り殺すのを求めてる大半の原作ファンはがっかりするであろうこと、監督の趣味で原作に全く関係ない作品のキャラがガッツリねじ込まれたこと、そもそも怖くないことなど、欠点も目に付く。

・他人には薦めづらく、目を瞑れない部分も実際多い映画だが、やはり「原作のあまり注目されていない設定を拾って話を膨らませた」という点が好みに合致しすぎてて自分は嫌いになれない作品。
鯵

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