ni

アクトレス 女たちの舞台のniのレビュー・感想・評価

アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)
4.6
難解な作品だったから、数年後に観返したい。

「過ぎ行く時間」「歳をとること」「老いとどう向き合うか」みたいなことがテーマ。特に映画界にいるとやっぱり老いは俳優、特に女優にとって大きな山なのだと思う。でも私は、歳をとったことでしか出せない輝き、全員が持てるものではなく、歳をとることを受け入れ、楽しんでいる人、年月をかけて積み重ねた知性と教養がある人にしか出せないもの、があると信じている。本当に、人によっては一般的に綺麗とされる若い頃よりも、歳をとった現在の方が輝いている人もいると感じるし、そういう人って本当に素敵で、私も憧れる。歳をとることは誰にも避けられない。だからこそ、どう歳をとるかがその人を左右する。マリアは最初、自分が歳を取ったことを受け入れられないし、自分が演じた役を若手の俳優に演じられるなど、尚更受け入れられない。だが彼女は、最終的には老いと向き合い、歳をとることを受け入れられたのだろう。最後のあの表情は、そうしたからこそ出せたものであろう。

何がきっかけで老いと向き合おうとしなかったマリアがそれと向き合えたのか、それはやっぱりヴァレンティーノが去ったことなのだろうか。彼女はマリアにうんざりしながらも、なんだかんだマリアのことを好きだったように見えたのに。なぜなのか理解出来なかったけど、マリアを老いと向き合わせるためだったのかもしれない。

スイスの山々が美しくて、‘’マローヤの蛇”も神秘的。この雲の流れがまたなんとも言えないもので、ヴァレンティーノの不在を引き立てているようにも感じられた。
ni

ni