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アクトレス 女たちの舞台のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)
4.0
[] 80点

2014年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。オリヴィエ・アサイヤス長編15作目。中心にあるのはヴィルヘルム・メルヒオールが書いた『マローヤの蛇』という戯曲である。若い挑発的なシグリッドが年上のヘレナの会社に入って色々あって、最終的にヘレナは自殺する、というもの(劇中でも"色々あって"のとこに色々な解釈があって面白い)。主人公マリアはヴィルヘルムに見出されてスターになり、今ではベテランの域にいるが、未だに自分がシグリッドであると思っている。そんな彼女の周りにはシグリッドとヘレナを思わせるような関係性で溢れている。特に優秀な若いマネージャーのヴァレンティンとの関係性は、マリアが知らず知らずのうちにヘレナとなって、シグリッドつまりヴァレンティンの若さや柔軟さに嫉妬しているという、そのまんますぎる関係になっている。マリアは嫌々ながらヘレナ役を練習するにあたってヴァレンティンをシグリッド役にして台本を読み進めるが、それが現実なのか練習なのか境界が曖昧になっている。マリアはもうヘレナになっているのに、彼女だけがそれを認めていないのだ。そんな感じで劇の解釈という主観と人生観の絡め方が実に上手い。そこには本作品の解釈と観客の人生観も絡められる自由度がある。マリアが心底嫌っているジジイ俳優の薄っぺらい解釈とか、本当に薄っぺらい人なんだろうなという感じがして良い。あと、3D映画に飽きたマリアが上映中にメガネを掛けたり外したりして暇つぶししてたのが面白かった。私も『ソー ラブ&サンダー』で同じことしてた。それにしても、しごできMGクリステン・スチュワートかっこよすぎ。
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