ヤスマサ

フューリーのヤスマサのレビュー・感想・評価

フューリー(2014年製作の映画)
3.9
第二次大戦末期、“フューリー”と名付けた戦車を駆るアメリカ人兵士ウォーダディーことドン・コリアー(ブラッド・ピット)率いる5人の戦車兵の死闘を描いた戦争映画。
進軍を続ける連合軍が敵地ドイツの前線で苦戦しているところ、フューリーの副操縦士として戦争経験のない新兵ノーマン・エリソン(ローガン・ラーマン)が充てられる。

ここに強いアメリカのイメージはない。
戦争の愚かで悲惨な現実を映し出している。
カリスマ性のあるウォーダディーでさえ、戦うのが怖くて堪らないのだ。
気が触れているほどに虚勢を張るのは、恐怖を払拭したいから。
前線にに立つ者には、宿営地で指揮を取る軍事的無能者への理不尽な思いがあることも手伝っているのだろう。
キリスト教の洗礼を受け良心を持ち続けたいと思うノーマンは、初めは使いものにならないものの、無慈悲で残忍な日々と重なる戦闘に、罵声を浴びせながら敵を銃撃するようになっていく。
フューリーとは激怒、激高といった意味。
フューリーを駆る5人の兵士は勇敢に戦うが、彼らの怒りはドイツ兵に向けられているだけでなく、内なるものに向けられたものでもあるのだろう。
武装、装甲共にドイツ軍に劣るフューリーが満身創痍で敵に挑む姿は惨憺たるものだ。
例え大義があろうとも、戦争は愚かなものだという反戦メッセージを感じる映画。
個人的に戦争ものはあまり好きではないが、心揺さぶられる作品だ。
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