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マルケータ・ラザロヴァーのアタフのレビュー・感想・評価

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)
3.5
気になっていた1967年のチェコ映画『マルケータ・ラザロヴァー』を見てきました。
見たのはいいものの、この映画に対しての前提知識や不明点が多かったので、勉強がてら備忘録として残しておきます。

まず、フランチシェク・ヴラーチルという監督。
もちろん存じ上げないわけですが、チェコの監督で『白い鳩』という映画でデビュー、その後この『マルケータ・ラザロヴァー』を監督しチェコ内では史上最高の映画との評価を受けたとのこと。

『マルケータ・ラザロヴァー』は1967年製作の白黒映画です。
まず気になるのが音声。

登場人物の声を後付けで当てはめているわけですが、その声の音量や加工状態が妙に合っていないことが気になります。
どういうことかと言うと、屋外にいるのに屋内にいるようなハウリングした声を当てはめていたり、手前にいる人物と奥にいる人物の声を同じ音量でかつハウリングさせた声を入れているため、今誰がしゃべっているのかが分からなかったりする。
息遣いとか笑い声とかの音量も合っていなくて、正直見ていて(聞いていて)イライラさせられました。恐らく、技術不足というよりは監督が意図してそのような音声設定にしているのだとは思いますが、私にはこれがノイズでしかなく、映画に集中できなかったです。
この映画の他の方のレビューを見ていると高評価の方が多く、その点に言及している人もあまりいない為、気になったのは私だけと言うことでしょうか??


続いて映画の内容ですが。
冒頭から映し出されるのは雪の降り積もった平原や狼の群れ、その中を進む馬車の一行。雄大な大自然とそれに抗う人々の生命力を感じる映像。舞台となる13世紀ボヘミア王国という馴染みのない時代ですが、その時代に泥臭く生きる人々の様子や大自然を映す映像には圧倒させられます。
内容としては部族間の争いであり、その部族間の争いにに巻き込まれる美少女マルケータが主人公となります。宗教観が色濃く、登場人物たちの動機も分かりずらい上、敵対する部族同士禁断の恋に落ちるマルケータの心情もよく分からない。原作もあるようですし、それを見れば色々と理解できる部分も多いのでしょうが、この映画だけで理解するのは難しいですね。とは言ったものの、上映時間は3時間近くあるので、もうちょっと上手くできなかったのかというのが正直な気持ちであります。

1967年当時では映像的にも宗教を主とするテーマ的にも素晴らしかったのかもしれませんが、現在でも通用する内容かと聞かれるとそうではないように思います。音声をまともにリマスターされたものでもう一度見たいなというのが正直な感想。
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