てっちゃん

マルケータ・ラザロヴァーのてっちゃんのレビュー・感想・評価

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)
4.1
超重量級作品故に、ただでさえ進まないレビューという名の自己満足自己肯定爆上げ駄文群像劇が、なかなか捗らないほどの作品でした。

本作は前もって、あらすじを頭に入れておくと良いと、どこかで見かけたので、いつもは鑑賞後に勇み足で買いに行くパンフを、鑑賞前に前のめり購入。

上映前にぱらりぱらりと読んでいたら、所々で挟まれる圧倒的なお写真に期待が高まり、登場人物紹介のところで、なんだかお顔が似ている方たちが多いなと思い、若干不安を感じつつ超重量級、鑑賞開始です。

結果的には、あまりにも壮大な映画づくりに圧倒され、詩を映像化したような作品。
パンフ(このパンフの満足度が非常に高くて、読み物としてとても面白く内容も濃いので読み応え抜群でした。最近思うのだけど、配給会社によってパンフの質が全然違うってのが面白い。本作の配給会社さんはとても優秀なパンフを作ってくれていますので、こちらで配給したほか作品も気になりますね)にとても良い言葉があってので、その紹介を。

「映画作りに最も近い芸術形態は恐らく詩だろう。詩を構成する節のひとつひとつにはそれぞれ違う意味がある。映画も同じように数多くのショットで構成されている。違う意味のを持つ複数のショットを編集で組み合わせるとまた違う意味が生まれる。そういう意味で映画は詩的な芸術であり、それこそが映画の魅力だろう」

これはヴラーチル監督さんの言葉だ。

これで本作全てを説明していると思う。
まさに本作は断片的な詩を切り貼りしており、詩を読んでいるかのよう。
この素晴らしい言葉で全部が説明つくので、映像的に印象に残ったことを。

よくある言い方だけど、構図がきめっきめだから(ポスター1枚で観に行こう!と決心したくらいに強烈な絵)、それだけで満足度が半端ない。
そもそもヴラーチル監督さん自身が「映画監督だとは思っていない」と発言している通り、彼はアート作家なのだ。

だから言葉だったり、映画的な動きで説明するのではなくて、絵で説明するタイプ。
その画で説明させる説得力が尋常じゃない凄みがあるので、圧倒されたわけだ。

劇伴も非常に印象的ではないでしょうか。
電子音的な音楽と、宗教的な音楽(キリスト教?)が合わさっているので、もはや夢心地ですよね(正直、少し寝たし)。
この音楽担当したデニェクリシュカさんが、ヤンシュヴァンクマイエル先生の初期作品とかで担当した方だとか。
より物語に厚みを増してくれているのは間違いないことでしょう。

あとこれは書かねばいけないことで、”本物”感がすごいぞ!って!こと。
本作は、実際に山奥で548日間も生活させて撮影させたんだとか。
さらには作品当時(13世紀半ば)の衣装や武器を当時の製法や材料で再現したという”本物”っぷり。
その”本物”が堪能できる面でも観て大満足すること間違いなしでしょう。

お気づきかもしれないが、お前、物語の内容に踏み込んでないではないか?ってことに。
恥ずかしながら、本作の内容があまりにも現実的でいて、妄想的でいて、宗教色が強く、まさに幻想的で神秘的(自分でも何言っているのか分かっていません)だったのです。
まあ単純に画で説明してくるのと、登場人物が多くお顔が似てるし、物語のテーマと画の強さが合っていないので、難解に感じてしまったのです。

もちろんパンフ読んで物語の概要は分かったのですが、本作の魅力がそこではなく、”本物”の”神秘的”を味わうことだと思っており、その威力があまりにも凄まじくて、言語化ができないのです。

私みたいな感想になる方に対しておすすめの鑑賞方法は、主人公であるマルケータの成長物語でもあるので、遠く見守る天からの目線でみると、違う楽しみができるかもと思いますので是非。

それにしても超重量級作品だったな。
てっちゃん

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