高卒派遣社員

マルケータ・ラザロヴァーの高卒派遣社員のレビュー・感想・評価

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)
4.5
13世紀のボヘミア王国で修道院に入るのを夢見る少女が主人公。将来が決まっていたのに敵対する領主から報復として誘拐されてしまう。彼女は領主とは名ばかりの強盗たちの真っ只中で凌辱される。愛と信仰と暴力と性の全てが詰まった1967年のチェコ映画。2時間45分釘付けだった。

映画の終盤で行き場を失いたどりついた修道院で祈りをささげるマルケータ。修道女たちの詠唱が詩編140編11節に差し掛かるとカットバックで今まさに死に直面する男が映し出される。男の最期を悟ったマルケータが修道女たちの言葉を拒絶するシーンが本当に素晴らしい。

詩編 140編 11節
燃え盛る炭がその上に降りかかり 穴の中に落とされて  彼らが二度と立ち上がれないように。(聖書協会共同訳)

修道院での祈りと愛する男が火矢を浴びて地に落ちる様子が完全にシンクロしている。修道院との決別が彼女の中で必ずしも神を捨てたわけではないことが続く台詞からも見て取れる。複雑な感情を美しく描いていた。
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