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マルケータ・ラザロヴァーのmajiziのレビュー・感想・評価

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)
4.5

冒頭から映像と音楽に圧倒されました。
だれひとり知らない役者と13世紀のボヘミア王国という時代設定のため、異世界へ入り込んだような感覚に。

神聖と暴虐。生と死。そして愛と憎悪。
中世のどこまでも矛盾した世界観に惹きつけられます。
ロケ地となっている大自然、降り積もる雪、何度も入る様々な動物のショット、美術、衣装、音楽。そして俳優たちの演技。これでもかというこだわりが見て取れる。

敵対する部族の息子ミコラーシュに誘拐され凌辱されるマルケータはいかにも弱者なのに、最終的に神ではなく自分の信念を貫くことを選んだ芯の強さを見せる。

ミコラーシュたちに襲撃され捕虜となったザクセン伯爵の息子クリスティアンは、ミコラーシュの妹アレクサンドラと恋に落ちる。

物語の中でロミジュリ的な展開が2つも進行するのに、ただそこにあるのは肉欲と生と死という潔さ。甘い愛の成就などを終着に見据えていないこの結末に、人間の業の深さと強い生命力を感じます。

しかし人の罪も地獄も全て人が生み出した概念であり、人が罪を恐れ罪に酔いしれ、地獄を彷徨うのも神が決めることでは無いのかもしれません。
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