けべん

ケープタウンのけべんのレビュー・感想・評価

ケープタウン(2013年製作の映画)
3.8
『チームジンバブエのソムリエたち(2021)』でケープタウンが舞台だったので、つながりで観てみた。正直、『シティ・オブ・ゴッド(2002)』のような内容を期待していたが全然違った。

原作は『Zulu』、フランスでベストセラーになったバイオレンス・サスペンス小説になる。原題は小説と同じタイトルであるが、邦題の『ケープタウン』はなんか違うような気がする。舞台がケープタウンだっただけで、本作の内容に特に影響していない。ケープタウンが舞台として選ばれたのは、後述する作戦が行われる場所としては適任だからだろう。アパルトヘイトの施策が色濃く反映された場所であるから。そして、今現在もなおそれは色濃く遺ってもいるから。
Zuluはズールー族のことで、南アフリカでは多い民族、本主人公(?)の出身でもある。

1981年に開始された生物化学兵器開発「プロジェクト・コースト」がモデルとして採用されている話。これがかなり酷い話だ。本作は目をつむるような惨劇とも言えるシーンが多々存在するが、このプロジェクトのせい。なんでやろうとしたかもなんでやったのかも誰が言い出したのかもわからない極悪非道な内容が本作の残忍さに繋がってると言える。

日本人にはめちゃくちゃ難しい内容であることは間違いない。本作はグロいシーンが目立つが、南アフリカのさまざまな施策や歴史に精通していないとわからない場面が多々存在していた。逆に言うと、この作品を見ると南アフリカの黒い歴史を知る一助になる。

物語は、正直どこに焦点が当たってるかが分からなかった。少なくとも、対政府とか大きな話には発展していなかった。

ちなみに、この作品を観たイメージでケープタウンへ行くと肩透かしを喰らうと思う。かなりの都会だから。でも気をつけたいのが、『チームジンバブエのソムリエたち(2021)』のドキュメンタリーではUberから降りた奥さんが強盗に襲われていたし、ケープタウン駅はかなり危なかったり、家の鉄柵は2重だし、旧黒人居住区タウンシップは何が起きてもおかしくない。わたしは電車の1等席で寝てて怒られた。ケープタウンはあくまでもアフリカだ。