三島由紀夫原作作品。
同名小説を増村保造監督がほぼ原作に忠実に映画化しました。
20代の若く美しい女性麗子。
ある日、精神分析医の汐見のところへ診察を受けに来る。
彼女は、
日常の騒音や話し声は聞こえるのに、
音楽だけが聞こえないという。
汐見は、
分析室で麗子と二人きりになり、
部屋を暗くして自由に連想したことを語らせた。
彼女の言葉は虚実が混ざり合い、
理解に苦しむものだったが、
幼少時代の記憶から、
兄に性的ないたずらを受け、
親が決めたいいなずけから学生時代にレイプされていたことを告白する。
さらに彼女は、
病人や死人、
不能の男としか性的興奮を得ることができず、
そのため恋人からは不感症と思われていた。
汐見の治療は続き、
次第に彼女の深層心理に近づいていき、
彼女の性的な象徴がハサミであることに気づくのだが・・・
精神分析医の汐見を演じるのが、
細川俊之。
彼が麗子(黒沢のり子)に質問しながら治療するあたりは、
まるで探偵小説のようで面白い。
象徴的に出てくるハサミが、
牛の角になったり女性の身体になったりするイメージも忘れ難い。
麗子の恋人を森次浩司が演じていて、
それなりに頑張っているのだが、
我々世代にはどうしてもモロボシダンに見えてしまうのは困った。
サングラスを付ける場面は、
そのままウルトラアイでウルトラセブンに変身するシーンにダブった。
麗子が音楽が聞こえない原因を、
名探偵のごとく鮮やかに解決した汐見。
と、思われたのだが・・・