MikiMickle

ボックストロールのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ボックストロール(2014年製作の映画)
3.9
『コララインとボタンの魔女』『KUBO』『パラノーマン ブライスフォローの謎』のライカスタジオによるストップモーションアニメ。

舞台はチーズブリッジという街。人々は、夜な夜な訪れては子供を連れ去って食べると噂されるボックストロールに怯えていた。街を司るチーズしか興味のないリンド卿は、スナッチャーという悪徳害虫駆除業者にそそのかされ、ボックストロール撲滅を依頼する。

そんなボックストロール達と地下で暮らす人間の男の子エッグス。トロールたちは、本当は地上に捨てられた物をこっそり拝借して生きている、臆病で穏やかな生き物だった。
しかし、スナッチャー達による駆除により、段々と数は減少してしまう…… エッグスの言わば父親的存在であるフィッシュというトロールも捕まってしまった… エッグスはフィッシュを救う為に、意を決して陽の当たる地上へとあがるのだ。
そこで知る、スナッチャーの恐ろしい悪巧み……
偶然出会ったリンド卿の娘と共に、彼の戦いが始まる。


まず、ボックストロールがキュートで仕方がない。見た目は醜いトロールだが、体は捨てられていた段ボール箱に覆われ、亀のようにそこに体を隠す。呼び名はその段ボールの名前。
醜いと書いたが、ものの数分でそれが可愛らしさに変わる。醜くも愛おしい。ユーモラスなその言動は、笑いと笑顔を与えてくれる。ヘンテコで最高‼‼‼もう1回言うけど、最高っ‼‼😂

主人公の少年エッグスも愛おしい。トロール達と同じくユーモラスな言動も面白みがあるし、切なさもある。新たに知る様々な真実への哀しみと戸惑いの中でも、大事なものを守りたいという一途な深い信念に、応援しかない。
また、勝気な少女の、本当は親の愛を感じられない哀しみなどや、スナッチャーの腰巾着である男たちの本当の思いやら、一癖も二癖もあるわき役の個性の心情がたった短い時間でも凝縮されて表されている。

そして、全くもって一筋縄では行かないストーリー展開は、笑えるほどの狂気さにも満ちていて‼ 狂人だらけ‼(笑) たまらないわ♡
その狂気は大人の世界の闇をキャッチーにダークに批判しつつ、大事な事をみせてくれる。実際のこの世の中の権力者は狂人だらけだもの。
面白くて仕方がない‼‼
狂人たちの世界で、「自分の力で何かを変える」という事を、ハラハラドキドキしながら感じさせてくれた映画だった。また、大好きなストップモーションアニメがひとつ増えたわ♡

また、ライカスタジオの映画はどれもストップモーションアニメというモノづくりへの多大な愛がある。 この作品はその代弁のようなものだった。
トロールたちは、地下でコソコソと集めてきたモノたちを使って製作している。捕まえられる危険をわかっていながらも、モノを集めてモノを作る。その、命を削る覚悟で作り上げるという事は、正しくライカの人々の精神そのもの。トロールの姿は、1シーンに何日もかけて命を吹き込むという作業をしている彼らの生き写しだ。
そうやって命をもらった登場人物トロールたちは、まさに生きているようで…… 上手さはもちろんのことだけれど、“生”を感じるのだ。

様々な面で、ほんと、楽しくてヘンテコで深い意味のあるユーモアに溢れた映画でした♪ 声優にサイモン・ペッグとニック・フロストが出てるのも、最高♡
これも、何度でも観たいストップモーションアニメだな〜♡
MikiMickle

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