スポック

0.5ミリのスポックのレビュー・感想・評価

0.5ミリ(2014年製作の映画)
4.5
安藤サクラのナチュラルな演技に魅せられた。
関西のベテラン芸人も大好きだが、やはり津川雅彦や草笛光子などの本格映画俳優が登場してきた後半から説得力が出てきて進展が締まってきた。

頭も身体も衰えて社会に役に立たない、または参加してない老人にとっては孤独が最もイラつく原因だ。
若くして住むところも職も無くして、ある意味では老人達と似た様な環境に突然なってしまった主人公は同じ孤独の匂いを持った老人に近寄って当面の生活を確保しようと企む。
しかし社会から相手にされず孤独と疎外感にイラつく老人たちにとっては主人公が作る地に足がついた手料理や家事仕事に心もお腹も満たされて幸福感を味わう。
産まれた環境も辿ってきた歴史も時代も違う幅広い年代の人々が、同じ時代で同じ空間で同じ時間を過ごすうちにどのように関わり合い分かり合えるのかの可能性に気付かされるような作品だった。