takeratta

0.5ミリのtakerattaのネタバレレビュー・内容・結末

0.5ミリ(2014年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

プライムビデオ見放題にて鑑賞。
2014年作品。
Rating : G (全年齢)



0.5ミリって何の長さか?重さかな?!って
少し気になって観てみました。

シリアスながら、どこか、生きることへの湧き上がる情動や、他人や世間体の隙間で、
老いること、介護予防や、居宅介護をうける側に回らざるを得ない、

高齢者、精神薄弱や、身体障害など、稀に精神障害(鬱持ち)な、自分のように何故か歩けない、謎な合併症に遭うと

救えるものが救えない、制度の狭間にあったりして

健常な人々と、どう歩み寄るべきか?と悩んでる自分には、とても参考になった。


今は皆さまはお若くて、ご家庭に養介護等級付いてヘルパーさんがやって来るご家庭ではない方が、殆どではないか?!と思う。

でもいつか、生きていれば老いて死に至る訳で
そうなる前に、
健康で、寝たきりや身体に麻痺を作らない、工夫の意味で

病院の予防医学とは違う、
社会システムや介護現場の実情を、すこし知る、きっかけになる作品とも思えました。

別に介護とか障害のとか自分に関係ないとか、老齢年金たんまりもらえるし、今時は、何でしたっけ?!
FIRE(Financial Independence, Retire Early : 早期の経済的自立と早期リタイア)movement は確かにあるものの、
たかだか1億円稼げても、え?
億ションの頭金にもならないじゃん?!って
とんでもさんは、多々見受けられ、

自称投資家は、真の投資家でなく、投機家でしかなく経済分かってないとか
20代で1億稼いで仕事辞めた男の子と、先日飲みましたが、笑
ぶっちゃけ1億じゃ、足りないでしょ〜?って聴いたら
うん、でもそう言う本書いて売ってしまったから
まだ働くんだよねだそうで。苦笑

他人を笑えないけど、一般的に男性サラリーマンの生涯年収総計が、ざっくり3億。
妻と子供一人居たとして、
35年ローンで、都心か郊外にマンション買って
団信掛けて、仮に死んだら、ローンチャラ。

そのほかに妻子のために死亡保険金受け取っていきてもらえるように、
かつての、私ら、保険ブローカーは、内閣から任免され、試験受かって、高額な細かな保証が付く保険にお入り頂く。

極め付けに、もし、仮にでも、本当に自分が死に至る時のために、遺言を書いてもらう事も、お仕事として、公証役場や、資産持ちの方は5億位資産有れば信託銀行がお仕事を分担してくれるので、

富裕層向けに、ご令嬢にどんな父親の想いを遺すか?手紙を書いていただく事もありました。
遺志を遺すことで、保険の価値がご理解頂ける、ただ、書かせる私たちもエグいなと思いつつ、平身低頭お願いをしてみる。

案外、子煩悩で、奥さんの事本当に大切に思っていらっしゃるご加入者さまは、
男ながら、死にたくないと苦悩されたり、
隠すようにうっすら涙を浮かべながら

お取りしたホテルのスイートでじっくり
自分と家族の未来を考えて頂くことはあります。

本題の映画に戻りまして。


居宅介護/在宅介護ケアサービスを受ける、男性のご高齢者サービスご利用者さま宅で、
けったいな話しから、大事件が起こる。

現実にこれをしたら、厚労省から介護指定業者から外され営業禁止5年なりの、罰則があるので
映画と現実は、分けて考えながら観ましょう。

母と子、母の父親の、家族構成の
父親の、痰を吸い取る業務、喀痰吸引業務から
映画が始まる。
ずりずり〜、じょぼじょぼと少し不快感ある映像に、似つかわしくない、クラシカルなワルツ曲

何が始まるのか?この違和感こそが
ふつーの人の感覚なのかもしれない。

介護、大変。

自分は親を15年以上前に余命半年が8年生きて
介護しつつ、働きつつで疲弊した。
元々、体力的に強い方でないのと、鬱も有って
隠して働いてたので
尚のこと、真面目に頑張るみたいに、自分を鼓舞し過ぎて、燃え尽き症候群になったりもした。

父を看取り、墓所も建て、喪主を務め、遺産分割協議書を、一族内如何にもめないで
綺麗に分け切り、蒸し返さず、相続が、争続しないようにするのが、相続人代表な訳だけど、

自分はおっとりさんなので、大変だった。

父は寡黙な人で、父子家庭のただ一人の片親だったので、
天涯孤独にはなったけれど、親の生きた証は、祀りたい。

その前に、生きてるうちに、親孝行足りなかったと悔いて泣いたなぁと。

おっと、映画内の、サービスご利用者さまは、まだ生きてます。

母曰く、
「そろそろ逝くと思うのよ。でね、お願いがあるの」
「お金は弾むから。一生のお願い!」

カネがモノを言う世界は怖いね〜。

まさかフィリピンの収監された中から60億近い詐欺やタタキの強盗行為を携帯からTelegram経由で指示出ししてるとか

何じゃそりゃだし、人の命を何と思ってるの?と
お命を落とされた被害者やご遺族を想うと、やるせ無い。


話しを戻して。
そこから、この介護ヘルパー、安直に
その願いをカネが出るならと、請負ってしまう。

請負(うけおい)という熟語に
負けるという漢字が入ってる時点で、
何だかもう、受けたら負けみたいな感覚は

請負契約交わす、私ら零細企業も、
お仕事頂けるだけでもありがたいわけで、共感。

但し、法令とコンプライアンスに基づき
報告義務を怠らず、業務遂行と

地域の皆さまの健康とご長寿、
また、介護人口に数えられぬよう、

介護予防も指導やケアプランを立てて行われる。


亡き父の妹、つまり、私の叔母が、
都内某社で、老舗の介護ビジネスを手掛けていて

私は医業経営しか興味無くて、
関わりが無かったのが、

最近は、ダブルディグリー、
つまり
看護師で、かつ介護士とか

医療ソーシャルワーカー(MSW)で、
かつ、臨床心理士(カウンセラー)など

医療と、福祉をくっつけて行く
業界の垣根を越えても、サービスができるよう
有能な人材が実はとても増えている。

むしろ医学部でて国試で医師になった
お医者さまより、

現業の、福祉の仕組みや法令、
また、地域包括や、高齢者、障害者、生活保護者への、虐待行為なども、
救うような、弱者救済が、
なされ始め福祉も進化している。


映画の方は、そうでない流れで進んで行く。

驚いたのは、田舎を描いたからかな?

ネタバレにならない程度に、サラッと書き抜けるけど、
母の子は、本好きで、本屋のお父さんの二階に
籠る時があるのだが、

このワンシーンだけで台詞無く、LGBTQの発露を、描く。
把握出来るだろうか?
田舎の古い因習で、長男一子相伝的な、
家父長制度を描きたかったのか?
はたまた、家庭の理由があって、
娘を男の子として育ててた事実が

主人公の、おしかけ介護ヘルパーが、見抜き、
どんな立場の、弱い社会的弱者にも冷遇せず、
父親に、
「お前の血は◯◯家の血だけが流れてるんじゃ〜」と

盆栽の剪定バサミで、床に押さえつけられ、
髪の毛を、ジャキジャキ切られてしまい、

その蛮行から介護ヘルパーが、逃がしてあげて

海風を遮る防砂林の松林を駆け逃げて
あ、この子、
海に身投げして死んじまう!ってのを

おしかけ介護ヘルパーが、
後ろから全力疾走で追いかけ、

防波堤の上で取っ組み合いの
つかみ合いで、食い止めた時に
ソックスに染まる血が滴り。。。

PMS。

あ、この子女の子だったの?!と。

何か理由があって、男の子として育てられ
ロンTと、ジャージー素材のハーフパンツに、
スポーツ刈りだったので、

男の子、息子
と思い込んでいた。

これは、すごい原作者のトラップ!

私は負けたけど、
「人を見た目で判断してないかい?!」ってね。

すごいシーンだと思った。

その後、最初の大事件で、
おしかけ介護ヘルパーは、
家無し、職無し、カネ無しになったわけだが

カネで解決出来ない、
このど田舎の現実をまざまざと改めて知り

束1の100万円を入れた封筒を握りしめ、

この世の無情を、絶叫して泣き

やっと理解者を得られた子は、

あの時間の夜に着せられ一度捨てかけたけど、
拾い直して捨てたなかった

赤く染めたワンピースを、子に渡され
火事で亡くなった母を思い出し、
ママ~と絶許してへたり込む。

泣けた。

このシーンは、グッとくるね。
無言で、誰の血であろうとも、あるがままに生きていけよ!どうせ生きるなら!とね。

一般人以下の私みたいな愚か者な鬱病の人も
これは、ズシンと心に応えた。
本当の、人間としての、あるべき優しさや、平等さってこれなんだなとね。

どんなだって生きていいし、生きるしかない。
だっていずれ老いて死を迎える時は、
病院以外は、亡くなれば警察から刑事来るし

畳の上で死ねるなら幸せなのかも知らないね。
私は、そんな贅沢な人生ではないだろうなと
覚悟はしてる。

曽祖父戦死、祖父暗殺、父頓死。
まともに畳でないとこで亡くなる家系らしい。涙

家族を大切にね!

総じて原作は、主演の妹。
この姉妹の父親が、役者でもあり、監督業にも
造詣の深い、奥田瑛二氏
フードコーディネーターで、彼の奥様の、
安藤和津さん。

一家総出の、見事な連携で紡ぎ出された
赤の他人も、ほんの0.5mm位の、静電気が起きる位、実は近い距離感で

生まれたての赤ちゃんも、やがて死にゆく
爺さまたちもおんなじ、この現実社会を生きてるんだよ!

という、生きてこそ。生きてるだけでハッピーとか、丸儲けとか。
まるで、ブッダや日蓮や親鸞の教えに近い、
生きるとは苦だが、老いてもなお生きる事に意味がある。

お節介さんの優しさが
結果的、街では問題アリ爺さんだったのが

実は押しかけて住んで飯作って暮らしてみると
案外全然普通で、単にもう、寂しさがこじれてるご高齢者なだけじゃん、

と言う、中々ね、あり得ない話であるんだけれど
一回観て学べる事が、多くて。

また、かかあ天下じゃないけど
口じゃ負けない、おしかけ介護ヘルパーが
結果的に、爺さまたちを助け、
こじれを社会更生させ、
笑顔の人に、戻してたりしてね。

一宿一飯の恩義じゃないけど
後妻業みたいな、やばい話でないのが
すごく良かった。

歳とってそれでも生きて、アンタと会えて良かったから、俺の宝物やるよとね
旧車の歴代高級車をもらえたり。

介護って微笑みで出来てる仕事なんだな。
ただ、そこで働く人々はものすごく大変で
腰痛めたり、糞尿で汚れても
仕事として頑張られつつ

研修受けてキャリアアップしてく。
海外から来る、外国人看護師には務まらない大変さがあるからこそ

もっと給料が上がる産業として
国が予算付けないと、日本の少子高齢化、
大変だと、自覚も出来た。

介護士さまリスペクト出来る、良い作品。

お勧めします!
^ - ^)o

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第39回報知映画賞
作品賞
助演男優賞(津川雅彦)

第88回キネマ旬報ベスト・テン
主演女優賞(安藤サクラ、『百円の恋』と合わせての受賞)
新人男優賞(東出昌大、『アオハライド』『寄生獣』、『クローズEXPLODE』と合わせての受賞)

第38回日本アカデミー賞
優秀主演女優賞(安藤サクラ)

第69回毎日映画コンクール
女優主演賞(安藤サクラ)
脚本賞(安藤桃子)

第57回ブルーリボン賞
主演女優賞(安藤サクラ、『百円の恋』と合わせて受賞)

第10回おおさかシネマフェスティバル
2014年度ベストテン・第3位(日本映画の部)
助演男優賞(坂田利夫)

第29回高崎映画祭
主演女優賞(安藤サクラ、『百円の恋』と合わせての受賞)
新進監督グランプリ(安藤桃子)

第24回日本映画批評家大賞
作品賞
主演女優賞(安藤サクラ、『百円の恋』と合わせての受賞)

第18回上海国際映画祭
アジアン・ニュータレントアワード部門
最優秀監督賞(安藤桃子)
優秀作品賞
優秀脚本賞(安藤桃子)

第59回三浦賞(灰原隆裕)

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監督 安藤桃子
脚本 安藤桃子
原作 安藤桃子『0.5ミリ』
製作 長澤佳也
製作総指揮 奥田瑛二
アソシエイトプロデューサー:畠中鈴子

撮影 灰原隆裕
編集 増永純一

音楽:TaQ、久保田修
主題歌 寺尾紗穂 「残照」

アクション指導:山田一善、高野芽唯
ヘルパー指導:社会福祉法人ふるさと自然村、医療法人地塩会、医療法人香美会

デザイナー:梅原真

撮影協力:
高知県、高知市、高知フィルムコミッション、土佐市、香南市、香美市、いの町、えひめフィルムコミッション、アジア・フィルム・ネットワーク ほか

ラボ:IMAGICA
製作会社 :
ゼロ・ピクチュアズ
リアル・プロダクツ
ユマニテ

配給 彩プロ
公開 2014年11月8日
上映時間 196分
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