ぴんじょん

0.5ミリのぴんじょんのレビュー・感想・評価

0.5ミリ(2014年製作の映画)
5.0
嫌だけど逃げられない家族

僕が好きな安藤サクラが主演だし、妻も興味があるであろう介護の話しだっていうんで、妻を誘って見に行きました。

安藤さくらは相変わらず怪しくていい。

真面目な、でもちょっとサービス精神旺盛すぎる、ヘルパーのサワ(安藤サクラ)は、依頼されたとんでもない要求、老人に添い寝するというものを受け入れたがために、失職してしまいます。

しかし、天性の人を見抜く力と、料理の腕前で、老人たちに取り入り、押しかけヘルパーとなって食いつないでいきます。

冒頭からの描き方がブラックコメディの雰囲気で、安藤サクラの演技もそんな雰囲気を醸しているのですが、その実、コメディなどではなく、今日の家族の在り方を残酷に描いていました。

バラバラに切り離され絆が見えないかと思えば、その反面、血のつながりが異様なほどの抑圧感を与えているというあたり、一筋縄ではいかない家族とやらを見事に描いていました。

押しかけヘルパーという設定は、ちょうど筒井康隆の『家族八景』のテレパス七瀬が、家政婦という形で家庭に入り込み、家族の隙間を見つめるのと同じような役割を果たしているように思えました。

一見老人問題を描いているようで、実は老人問題なんかどうでもいいようです。

ラストのエピソードは冒頭のサワの失敗ともつながり、重苦しい中にも人間の解放を描いていました。

テーマも面白いが、何と言ってもこの作品の成功の原因は安藤サクラの演技でしょう。

家族総出で作ったようなこの作品、安藤サクラの魅力を引き出すように丁寧に作られているように思えました。

2016/8/5 21:32
2,678- 2
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