くろのにつけ

マジック・イン・ムーンライトのくろのにつけのレビュー・感想・評価

3.3
偏屈で皮肉屋のマジシャンのスタンリーは、常に理論的に科学的に物事を分析するのが信条だった。
スタンリーはベルリン開催のマジックショーの公演を終えたところで、友人からアメリカ人の占い師ソフィーのトリックを見破って欲しいと依頼される。
神や霊は信じていないスタンリーは必ず手品の種を暴いてやるとソフィーのいる屋敷に意気揚々と乗り込むのだが、ソフィーの透視能力を実際に見て自分の意識を変えられてしまいー。

BGMがクラシックで全編通されていて衣装やセットや雰囲気がとてもロマンチック。
独特の言い回しをする台詞のやり取りも含めてこれぞウディアレンって作品でした。
コリン・ファースの台詞の多さは舞台作品を観ているようでしたよ。

雨宿りするために避難した天文台の屋根を少しだけ開けて、屋根の隙間から見える月と星をスタンリーとソフィーが見上げているシーンなんて、絵が綺麗でムード満点で良かったですね。
あれはソフィーにウクレレを弾き語るお金持ちの婚約者がいたとしても、スタンリーに結婚する予定でいる申し分ない理論的な恋人がいたとしても、もうデート以外の何物でもなかった(笑)。

ソフィーが強かな一面もあってチャーミングで魅力的でした。
着ている衣装も帽子といいワンピースといいイチイチ可愛くて目を惹かれます。
頭で考えたらどう見ても理論的でない恋をしてしまい、不器用な男と化したスタンリー。
「君が一番美しく見える光は夕日の光だ」
「日が沈んでもう顔が見えなくなる頃ね!怒」
ってなっちゃう会話などクスッときました。
皮肉屋から不器用者の恋へ変わってしまうこの振り幅。
スタンリーの口説けてない口説き文句は面白かったです。
恋愛はマジックですね。

展開としてはスタンリーとソフィーが落ち着かないと綺麗には話がまとまらない作りなので、特に意外性はありません。
収まるところに収まるまでのエピソードを楽しむハートフル恋愛映画です。
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