ムギ山

バクマン。のムギ山のレビュー・感想・評価

バクマン。(2015年製作の映画)
3.5
原作は途中まで読んでたけど、細かいところはすっかり忘れてしまっていた。映画を見ながら、「最初は王道路線のマンガで勝負しようとしたけどダメで、その後ちょっとひねったスタイルの作品で成功するが次第に行き詰まり…」というストーリーが非常にロジカルに組み立てられていたのを思い出す。そのストーリーのロジックというか、行き当たりばったりでなく単に感情的にがんばるだけでない原作の魅力が映画に移し替えられていて面白かった。主役の神木龍之介と佐藤健もとても華があって良い。
のだけど、これ多分映画として終わらせるためのオリジナルの結末だと思うのだけど、主人公二人は最終的に週刊連載を続ける体力がなく佐藤健の方は入院してしまう。けれどなんとか最後の力を振り絞り新人漫画家仲間の力も借りて1回分を描き、その回でアンケート1位を獲ってライバルに勝つ、という一応のカタルシスでエンドになるのだが、冷静に考えるとこれって別にハッピーエンドじゃないよな? と思うのだ。主人公になにか時間的な期限が切ってあるのならともかく、そうでない普通の連載漫画家の成功というのはとにかく連載を続けることにあるわけで、(約束とはいえ)1回だけアンケートでライバルに勝ったからと言ってそれが最終的な勝利でないことは当人たちが痛いほどわかってるはずだ。だから病院抜け出して1回分だけ頑張って描いたからって、そんなの何の足しにもなんないよなあとこっちは見ながら思っちゃうわけで、そのためクライマックスのカタルシスも3割くらい減に感じてしまうわけなのでした。

ジャンプの編集会議のシーンは舞台中心に活動してる役者さんを集めたらしいけど、すごくリアルな演技で「ほら、こういう芝居のできる人ちゃんといるんじゃん!」と思いました。
あと元書店員としては、エンドクレジットの本の並びが気になったのだった(巻数物というのは左から右に1巻2巻3巻…と並べるものなので、エンドクレジットの並べ方は逆なのだ)。
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