うえすぎ

バクマン。のうえすぎのネタバレレビュー・内容・結末

バクマン。(2015年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

当時見に行って以来再び鑑賞。
原作既読勢からすると、素晴らしい出来だと思いますし実写版界の中では個人的にはトップ3には入るくらい納得の出来かと。

ストーリー的には全20巻を一つにまとめるなんてそもそもできないので上手く取捨選択して一つにまとめ上げている形です。
よくあるこのシーンが!このキャラがない!みたいな原作勢からの叫びが聞こえてくることはよくありますが、この映画では原作のリスペクトが非常に感じられるので原作大好きでも特に気にせず引き込まれるかと思います。

ストーリーについてはそこそこにして、この映画で語るべきとこは美術、演出、音楽に詰まっています。
まずは美術。バクマン内で描かれている劇中劇が現実のジャンプに掲載されているような形で再現されていることです。新妻エイジというキャラが「CROW」という漫画を連載している設定なのですが劇中で登場するジャンプにはワンピース等の現実の漫画の煽り文が入っていたりと美術の完成度が素晴らしく高いです。また、原作の劇中劇では当然、作画の小畑先生が全て書いてますがこの映画では主人公コンビの序盤は小畑先生によるものではない別の方の作画を用意されていて、画力が向上したタイミングで小畑先生の作画になるという最高の展開もあります。もちろん本物のジャンプ編集部も見どころです。


音楽。サカナクションが全て担当しています。そもそもタイトルの「新宝島」とは漫画界の伝説である手塚治虫先生の同名漫画「新宝島」が由来となっていると思われます。
詳しくはないのですが漫画にドラマ性のあるストーリーを持ち込んだ最初に持ち込んだ作品と言われているものです。
タイトルが発表された時には感嘆しました。
作中のBGMもよくできていて当時、新宝島に収録されている劇伴をリミックスした「MOTION MUSIC OF BAKUMAN」良く聴きました。

最後に演出。監督の大根仁さんらしく遊び心満載でこれでもかと気持ちを高めてくれます。まず最初のジャンプ紹介がこれ以上なくワクワクしてから、作画シーンにプロジェクションマッピングやCGを捕まった漫画バトルを表現されていて、ここは原作がリアリティ志向で実写版がポップに表現されるという普通は逆である方向性がお互いの良さを引き出しているところでした。メディアの特性を理解して映像体験を重視した作風なのが今作です。その狙いは大正解だったと思います。
そして最後のエンドロールは邦画史上1番カッコ良いです。(選んでるネタも素晴らしい)

原作が漫画のものは実写版にネガティブな意見が多くなりがちです。多くは原作へのリスペクトが感じられなく、映画のネタがないから仕方なく使ってやってるような映画界隈からの上から目線な雰囲気を個人的には感じます。

この作品では各チームが全力で実写版バクマンを作るという意思が感じられ、脂が乗りまくった見応えある作品だと思います。
もっと語られても良い作品だと思います。
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