Edie

ルック・オブ・サイレンスのEdieのレビュー・感想・評価

ルック・オブ・サイレンス(2014年製作の映画)
5.0
前作も衝撃的でしたが、今作も衝撃的でした。

なぜそこまで残忍な手段を取ったかは語られませんが、銃がないことに加え、被害者に対する憎悪や嫌悪、正義の元の処罰、様々な要因が重なり、凄惨な状況に陥ったのでしょうか。

政府が信仰心を巧みに利用し、憎悪と正義感を煽り、一般人を犯罪者へ仕立てたことが見えてきて、真の悪は政府であることに間違いなく、一般市民は加害者も被害者もある種被害者に見えます。

気が狂わないよう血を飲み正気を保つ、良心の呵責が全くない訳でもない。精神が崩壊してしまうため、善行だったと信じるしかないのでしょう。

政府が虐殺を美談とし、加害者側が権力を握る状況で、加害者側にも同調圧力があり、加害者も被害者も、本心を語るのは難しいように思いました。

加害者が流暢に話すのも、不安の裏返しのようにも見えました。話すことで、自分が正しかったと言い聞かせているようでした。

その中で、強靭な精神の持ち主だったものたちが、リーダー格になった。当時沢山の実行者が精神に異常をきたした事を話しており、加害者側の自身への嫌悪も垣間見えます。

当時たまたま被害者側にいたか、加害者側にいたかの違いだったのかもしれない。

同じような事態になったとき、自分が加害者側に回らず、拷問死をもって正義を通せるのか。

この作品は、加害者になる可能性について、常に考えさせられます。

また、昨今、インターネットやSNS、メディアの多様化から、いかにテレビに代表される主要メディアが日常的に情報操作しているかが簡単にわかるようになり、こうした煽動が昔より難しい一方で、日本も関東大震災では同じ過ちを犯していますが、 Xなどを見ると今も差別的な発言や、他人への憎悪に溢れていて、政府が”今日から〇〇は殺してOK”とすれば、現在の日本でも簡単に映画のような状態を作り出せることも分かるので、過去のことではなく、明日にでも起きえることとして捉えられます。

戦争したくてもできない、が一番。
憲法9条は今後も死守して行きたい。
こうした作品を見るたびに思います。
Edie

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