アメリカの怪しい人体実験の代名詞で、何かと言えば事あるごとに引っ張り出され、この手の作品には「なんだかよくわからないけど巨大な陰謀っぽく聞こえる」という意味で欠かせない、過去実在した「MKウルトラ計画」
タイトルにもあるように、その「MKウルトラ計画」をモチーフに、あくまでモチーフに、寧ろちょっとしかカスってないレベルの後付けでウルトラな作品がこちらです。
この映画凄い。ツッコミどころが多いというか、全編ツッコミ入れるとこしかない。そんなんなかなかないで。
でもなんていうか、出来が悪いほど可愛いっていうんですかね。憎めない何かがあるのよ。
そもそもジェシー・アイゼンバーグ君をエージェント役で使おうとする所からして普通じゃない。
しかもこの主人公半端ない。
『イコライザー』のデンゼル・ワシントンさんがダイナーで紅茶を飲みながら読書をしつつクロエちゃんとウィットな会話を楽しんでいる一方その頃、別の次元のジェシー君マリファナ吸ってます。
そうかと思えばバイト先のコンビニでは、律儀に陳列したり、掃除したり、「本日特売デー」という看板の曜日を差し替える素晴らしい仕事っぷり。
マリファナ吸いながらだけど。
僕がオーナーなら雇いたい。
そんなフザけた設定でも、覚醒した後のアクションは割と頑張っていてですね、クライマックスの長回しなんてちょっと予想外の良さ。
また周りのキャスティングも絶妙で、ヒロインに『アドベンチャーランドへようこそ』の相方、クリステン・スチュワートちゃんを配し、敵役には『プレデターズ』コンビ、トファー・グレイス君とウォルトン・ゴギンズ君を。
そして「この人だけ違う台本渡されたんじゃないか」という程に1人だけ無駄にシリアスな演技のビル・プルマンさんと、なんでそういう配役にしたのかちょっと聞いてみたい。
ニマ・ヌリザデ監督も前監督作『プロジェクト X』が無茶苦茶だっただけに、ひょっとしてとは思ったけれど、思ってた以上に無茶苦茶だった。
製作費は『007 スペクター』の8分の1の、そこらの恋愛映画程度なんで、ロケ地がなんだかいちいち適当なのはご愛嬌。
多分殆どギャラじゃないのかこれ。
まぁでも面白いと思います。
ラストのジェシー君が拘束されてクスッとするところ、それより先に僕の方がふきだした。
「ゾンビに囲まれたらホームセンター最強」を唱えるホームセンター教を崇拝する方には「殺戮部隊に囲まれてもやっぱりホームセンター最強」を裏付けられる絶好の作品であるばかりか、「アメリカで売ってるチリトリは人が殺せる」という事がわかる稀少な映画なので、部屋を煙たくしながらご覧になるとなかなか楽しめるんじゃないかと思うところです。