砂場

マップ・トゥ・ザ・スターズの砂場のレビュー・感想・評価

4.2
いい映画ですが
あえてダサい邦題をつける『ハリウッド 禁断の愛』

まずはあらすじから

ーーーあらすじーーー
■アガサ(ミア・ワシコウスカ)はフロリダからロスにきた女の子、タクシーでハリウッドの子役ベンジーの家の跡地に行きたいと行き先をいう。タクシーの運転手ジェローム(ロバート・パティンソン)は脚本家を目指していた。
■子役のベンジー(エヴァン・バード)は人気取りのために難病の女の子を見舞う、マネージャーは母クリスティーナ(オリヴィア・ウィリアムス)、父スタッフォード(ジョン・キューザック)は心理学者。
■女優のハヴァナ(ジュリアン・ムーア)はスタッフォードのマッサージを受ける、女優だった亡き母の主演していた作品のリメイクになんとしてでも役を取りたい。
■ベンジーは自宅で女の子の幽霊を見る
■ハヴァナはダミアン監督に役に選んで欲しいが監督の推しはアジータだった。
■アガサはキャリーの紹介でハヴァナの秘書になる
■役はアジータに決まってしまった
■ベンジーは共演の子役の幼い子にライバル心剥き出し、
■ハヴァナがアガサに八つ当たりしていると、アジータの息子が溺死したニュースが急遽代役はハヴァナに。表面上は悲しむハヴァナだが、内心はハッピー
■アガサは撮影現場でベンジーに会う。7年前、家に火をつけた事件の話をする
■スタッフォードは家族に接触が禁じられていると娘のアガサは伝え、金を持たせて
街から追い出そうとした。
■アガサはジェロームと付き合い始める
■ベンジーはドラッグに手を出して、つるんでる仲間の家で、ピストルで遊んでいると笑いながら自分の頭に向けて引き金を引く、友達の犬を撃って実弾が出て犬死亡
■アガサは母クリスティーナに会いにきた、自宅を放火した理由は金庫から父と母が実の兄妹であった証拠を見てしまい錯乱して火をつけたのだ。
クリスティーナは別々に育てられ兄妹とは知らずに結婚たと語る。
父スタッフォードが帰ってきて、アガサを殴って追い出す。
■ベンジーは共演の子役の幼い子に嫌がらせ、トイレで首を
締める、クリスティーナは弁護士を使い息子の事件を揉みす準備。しかしベンジーは役を降板。首を絞められた子は一命を取り留めた


<💢以下ネタバレあり💢>
■アガサはジェロームがハヴァナと自宅の前でファックするのを見てしまう、その後ハヴァナに遅刻をやソファーを生理の血で汚して罵倒され思わず映画賞のトロフィーで殴り殺す
■スタッフォードが家に帰るとクリスティーナが焼身自殺、
慌ててプールに落とすが既に死んでいた。茫然自失のスタッフォード。
■ベンジーとハヴァナは焼けてしまった元の家で二人だけの結婚式を挙げ、両親から奪った指輪を交換する。大量の睡眠薬を飲んで横たわる
ーーーあらすじおわりーーー


🎥🎥🎥

『ヴィデオドローム』『ザ・フライ』世代としては後期クローネンバーグはいい映画も多いけどカルト的高揚感が無いんですがその反面ジワリとくる作品が多いと思います。

2014年に撮った時はなんと74歳、それにしてもすごいのはこの歳でも攻めてるし新しい分野に挑戦している。

今作はハリウッド内幕ものだ。
それにしてもジュリアン・ムーアが役が欲しくてライバルの不幸を飛び上がって喜ぶとか、トイレとか超汚れ役。子役のエヴァン・バードの憎たらしいガキっぷりとか狂気としか思えない。
セックス、ドラッグ&銃
ミア・ワシコウスカの前髪ぱっつんいいね。『東京暮色』のレビューにも書いたけど、有馬稲子的な前髪ぱっつん女子の系譜って大体とんがっている。「はなればなれに」のアンナ・カリーナ、「スローガン」のジェーン・バーキン、「シンプルメン」のエリナ・レーヴェンソン、、そしてミア・ワシコウスカ

ハリウッド内幕ものいえば『ワンス・アポン・ア・タイム』は痛快ファンタジーだったけどクローネンバーグの作品は狂気で溢れていて、ケネス・アンガーの本『ハリウッド・バビロン』を思い出す。まあちょっとケネス・アンガーとクローネンバーグって似たところあるし

何気に『ザ・ブルード』のモチーフを織り込んでいるような感じがする。出生の秘密、生まれてきた子供=暴力の象徴、、、

74歳のクローネンバーグ、これまで今作のようなアルトマン、PTA的な多視点群像劇は過去作には無かった。
じっくりねっとり少数の人物を描くことが多かったので。
でもうまいんですよ、テンポのいいセリフ、適度なギャグの挿入、笑いと残酷のバランス、、なんか元々長いこと群像劇を撮って来た人のようなこなれ感。
そういえばティーンエイジャーをメインに持ってくる作品もないですよね、これも新しいチャレンジだし結構うまくいっている。
グレタ・ガーウィグ風味も感じるフレッシュさ

今作はカンヌでは話題になったけどアカデミー賞はノミネートもなしだったかな。『ワンス〜』の方は賞取ってるが『マップ〜』の方は関係者は見てて嫌な気持ちだったか

クローネンバーグのフィルモグラフィーの中では地味かもしれないけど良作
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