しょーご

マップ・トゥ・ザ・スターズのしょーごのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

伝説的カルト女優の母親がかつて演じた役を獲得することに固執する女優と、両親(実は兄妹)の結婚を再現しようとする姉と弟。


焼死した母親から性的虐待を受けていた女優と、弟との婚姻関係に囚われ家に火を放った過去を持つ火傷跡のある姉、母親の幽霊をみる女優と、売名行為のために見舞ってたファンの少女の幽霊をみるヤク中の弟、それぞれの人物の配置を反転させてみると、映画が求める家族像と、ハリウッドスターに求められるゴシップの齟齬によって崩壊していく俳優たちの物語であることが分かるはずだ。


だから、最後に女優が殺されるのはとても示唆的。


演じることで「出自」を確定させようとする欲望もまた、幻想にすぎない。
ゴシップの再演によって破綻していく道しか彼らには残されていなかったのだから。


大量の薬を飲んだあと両親の結婚指輪を交換しあう姉弟も、やはり破綻している家族関係への隔絶を思わせる。


これはクローネンバーグ流の、すこし笑えてすこし怖い、皮肉な「ハリウッドムービー」なのだ。
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