シュローダー

マップ・トゥ・ザ・スターズのシュローダーのレビュー・感想・評価

4.5
ハリウッドに住むセレブたちと、1組の家族。彼女たちの醜悪な世界を描き出す。我らがデヴィッドクローネンバーグ大先生の現状での最新作。流石に往年の勢いは衰えた…訳もなく、むしろ昔より底意地が悪くなっているように見えてならない。この映画で描かれるのは非常に現実的な病んだ人間たちの内面。それを過去作の様に戯画化する事もなく、ただ淡々と示していく。それを体現するのがジュリアンムーアの体当たり演技だろう。この辺りは完全に前作「危険なメソッド」のキーラナイトレイと重なる。特にヤバイと思ったのが、便秘になって腹を鳴らしながらケツを拭くシーン。いくらなんでもこのような哀れな姿まで晒してみせるジュリアンムーアの役者魂には感服するばかり。他の役者陣も魅力的だが、やはり注目したいのはミアワジコウスカ。クローネンバーグ映画の主人公に特有のイッた"目"をきちんと体現している。そして、あの素晴らしいラスト。所謂メリーバッドエンドではあるが、僕にしてみれば純然たるハッピーエンド。エンドロールに入るタイミングの完璧さは、優れた映画の必須条件であると改めて思えた。総じて、僕の様な熱心なクローネンバーグ信者ならば必見の作品。決して万人向けの映画ではないが、映画とは本来万人に向ける必要なぞ全く無いのである。僕は諸手を挙げて面白かったと断言したいと思う。