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マップ・トゥ・ザ・スターズのmのレビュー・感想・評価

4.5
ファンタジーと狂気があってとても好きだった。物語に登場する人達は皆まともじゃない。(アジタはまともかな)普通の暮らしをしている私達も誰かから見ればまともじゃないのかも知れないし、普通というのはよく分からないけど。

私はこの物語に出てくる人達皆の気持ちがそれぞれなんとなくわかった。行動や言動に理解できない人はいなかった。

アジタが降板して役が回ってきたときのハバナのあの歌とダンスはめちゃくちゃゾッとしてしまったが、自分が同じ立場だったらどうなんだろう。あんな風に喜んでしまわない自信がない。

子供の頃から大金を稼げるような世界は普通ではないし、ハリウッドの世界も私には分からない。お金や名声ってあったが良いのか、無いほうが良いのか。

血の繋がり、アガサがソファーにつけて汚してしまった生理の血、ハバナを殺してしまう時に浴びる返り血、なんだか血がいっぱいだった。

【好きなシーン】

①アガサが部屋で父親が出てるテレビを流しながらなんか変な踊りを踊ってるところ。

②アガサが砂糖で変になるからいらないと言った時にベンジーが飲み物をちょっと吹きそうになって「ベリーファニー」と言うところ。

③ハバナにセラピーをしてる時にスタッフォードが「自分史のツボを押す、モモにあるんだ」と言うところ。これにはそんなんあるかい!と思わず笑ってしまった。

④スタッフォードがアガサを抱き締めながらも「スキンクリームと薬とぼろバッグを持ち玄関に出せ」と言うところ。とても怖かった。

⑤アガサがハバナを殺してしまうシーン。返り血が増えていくところ。色々な映画でこのようなシーンは観るけど、私は本当に大好きで興奮する。人を殺せないから一生無理だけど返り血浴びてみたいよ。

⑥「13回夏を過ごした。文句ないさ」というベンジーの最後の言葉。

この映画で唯一ちょっとなあだったのはクリスティーナが炎に包まれるシーンがなんか安っぽかったところ。

以下、映画とは関係ないです。

この映画は大島弓子先生のローズティーセレモニーという漫画の素晴らしいラストシーンに出てくるポール・エリュアールという詩人の『自由』という詞が出てくると知ってとても観たかった映画だった。

漫画はラスト、この詞を引き合いに小さな革命を起こそうと生徒達が次々と教室を飛び出していく。物凄くドラマチックで映画のようで震えた。大島弓子先生の漫画の中でもかなり好きな作品。

この漫画と映画は関係ないけど、映画の中で何度も繰り返されるこの詞、本当に良いよなあ。

あと、アガサの髪型と色がとても可愛くてまた前髪を作りたくなってしまった。
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