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Mommy/マミーのkeroleonのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.5
きっとドラン史上最高傑作!!
普遍的な「母と子」を主軸に精神疾患という重いテーマも絡めつつ、さらに女の友情も軽やかに描いてるヒューマンドラマ。

もう前半からゾワゾワ…と迫ってくる親子間の閉塞感がすごくて息が詰まるんだけど、途中パーっと何かが開ける瞬間があるのです。
スクリーン画面比が1:1から、普通の16:9に変わる瞬間なんだ。しかもそれが、息子スティーヴが両手でこじ開けるという演出が素敵!
で、またそれがスーッと元に戻るシーンがあり…そうやってキャラクターの心情の変化に、観てる側も視界と気持ちが狭まる居心地の悪さを感じる。こうしてドラン監督の術中にハマり、見事に翻弄されていく感覚が気持ち良い!

まだ親になる予定はない私だけど、息子を誰よりも愛してるのに同時に誰よりも恐怖する母ダイアンの気持ちに共感してしまう。。胃のあたりをずっしりした重みが襲って、苦しいほどに涙が流れた。そんな彼女の選択は、誰にも責められない。
アンバランスで危険な親子関係なんだけど、そこにご近所さんのミステリアスな女性カイラが清涼感を与える。この不思議な3人の関係性も、つかの間のHappyなパーティーシーンとかすごく良かったな〜。
それぞれ抱えるものが複雑なだけに、惹かれるべくして集まる3人。独特な愛あるスリーサムを描くのがやっぱり上手なドランさん。

普段映画を観ていて、私はあまり監督の意図とか真意がスクリーンから伝わってくることはないんだけど、彼の作品は違う。ドラン監督がこう言いたいんだな、という思いがほぼ全編透けて観えてくるから面白いんだ。
若き天才の個性とメッセージに満ちた作品。

ラストにダイアンがカイラに語るセリフがすごくストレートな希望に満ちた言葉で、カンヌ授賞式でドラン監督が涙ながらに語ったスピーチと通じるものがあった。
もうすごくすごく好きな作品!
支離滅裂でひたすら長くなっちゃってすいませぬー!

2015.3.15
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