くるぶし

Mommy/マミーのくるぶしのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
3.8
自分がまだ10代だったら、グザヴィエ・ドランと同じ時代に生きていけることを感謝するぐらい影響されていただろう。例えばギャロとかハーモニー・コリンが自分にとってのそれなのだけど。
そのぐらい彼の登場は映画界にとってセンセーショナルでhappyな出来事だと思う。最新作Mommy は、自分がしばらく興味を失っていたいわゆるアート系と呼ばれる作品の中で群を抜いた輝きを放っていた。突飛な映像センス、新しいものへの嗅覚と反射神経、グザヴィエ・ドランがここまでもてはやされている理由がよくわかる。彼は、きっと「今しか撮れない」と自覚している。

10代青年期の制御できない感情の暴発と、その裏側で無邪気に笑う息子の問題行動をもてあます母親。対比させているようで、スティーブとダイアンは二人で1ペア。お互いが「愛してる」と言いながら、お互いを切り刻んでいく姿がえげつなく、心がひりひりしてしょうがなかった。
母にすり寄る男の影に不機嫌になる息子とか、「ノックしろよ!FUCK!」な息子とか、それはもうやりつくしただろうというベタなシーンが多々あって萎えた部分もあるし、いちいち小洒落た映像が鼻につくんだよ、正直。でもなんかそーいうのを吹き飛ばすぐらい、あの“青空”の使い方に全部もっていかれた。あれはね、ずるいよ、ほんと。

あと映画始まる前のドキュメンタリーみたいなショートフィルム、あれいらない。野暮。
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