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あの日の声を探してのxoのレビュー・感想・評価

あの日の声を探して(2014年製作の映画)
2.5
人間は、暴力を振るうことや他者を支配することに快楽を抱いちゃう生き物だってことを認めないといけない。そのうえで、社会としてはそれが起き得ない状況を作ることが大事なんだと思う。

抑圧と搾取、理不尽な支配-被支配の関係。フィクションであれ実話であれ幾度となく見てきたものが、この作品でも同じように展開されている。

問題提起としてあるのが、ロシア人のふつうの若者がロシア兵になっていく視点が用意されていること。
当初は自分自身が抱いている感情を信じていた彼が、自らにとっての敵は愚鈍であり、笑って馬鹿にすべき対象であり、なんの気なしに殺しても差し支えない存在なんだって思うようになっちゃう様子が恐ろしい。戦場においてはそれが"最適化"なのであり、模範的な振る舞いになっちゃうところが、戦争の恐ろしいところ。

しかしながら、本作は良くできているとは思えなかった。
主人公である子どもの様子の変化が唐突すぎる。。
Bee Geesの一連のくだりにしても、心の変化を表現したいのはわかるものの、作り手側の意図が透けすぎている。
お絵描きしてて、家族や家を塗り潰しちゃうとこなんかも、やけに説明的。
主人公の姉をめぐっての「get up! get up!」からの展開もご都合主義というか。
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