けんけん3号

サンドラの週末のけんけん3号のネタバレレビュー・内容・結末

サンドラの週末(2014年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「イゴールの約束」に続いてダルデンヌ兄弟の作品を鑑賞。マリオン・コティヤールの主演作があったので、こちらをチョイス。う〜ん、人のイヤな部分を観せられる作品だなぁ~。タイトル通り、サンドラの週末の話、それも辛い週末。自分の解雇を回避する為に、同僚にボーナスを貰うのを辞退してくれと説得してまわるんだけど、これがかなり辛い。皆、生活のために働いているわけで、ボーナスという大金を当てにしている。共働の家は、そもそもお金に苦労してなければ奥さんは働いていないわけだし。そこを説得するサンドラも精神的にキツいが、面倒な問題を持ち込まれた側も、返事によっては後味が悪いし、カッコつけて無理をしたら自分が辛いわけだし…。善意か金、苦渋の決断を迫られる。そもそも会社が天秤にかけるようなことをするのが問題。サンドラを直接解雇すれば済む話で、関係のある従業員たちを巻き込むから全員が複雑なイヤな想いをする。ただ、鬱病の人間を解雇したいという会社側の思惑も理解できないないわけじゃない…。そんな複雑な感情が入り交じる、答えのないような作品だが、この作品の主題はサンドラが病、夫とのこと、解雇などの問題を克服して、人間として成長する物語なんだなぁと思う。ラストのサンドラの様子からそれが伺える。あそこのシーンで作品の方向が決まった気がした。主演のマリオン・コティヤールはサンドラを上手く演じていた。特にドラマチックな展開があるわけじゃない中、交渉や仕草、精神的に追い詰められている感じから、ラストの吹っ切れた表情まで、感情の機微をよく表現していたと思う。結構難しかったと思うんだけど…。鑑賞後に知ったが、彼女はこの作品でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされていた。うん、納得。週末を切り取って描いただけなのに、これだけ印象に残る作品にするのはダルデンヌ兄弟の手腕なんだろう。マリオン・コティヤールの美しさも影響があったと思うけど。個人的には良い作品だった。