むむ

人生スイッチのむむのレビュー・感想・評価

人生スイッチ(2014年製作の映画)
4.4
映画で描かれる負の連鎖にどうしても惹き付けられてしまう。負が連なれば連なるほどに好ましい。人の不幸は蜜の味である以前に、ひょんなキッカケで陥りかねない青天の霹靂というやつを、わたしはひとつでも多く知っておきたい。取り越し苦労の多い性格と言われようとも石橋は強めに叩いておく。「嗚呼、終わったな…」という案件に遭遇した時、図らずとも発生してしまうユーモア。脂汗と共によくわからないアドレナリンが吹き出し妙に恍惚としてしまうあれは何なのでしょう。だからこそのヤミツキ。充血した目とカラカラに乾いた喉で面白くもないのに笑ってしまう。この映画に登場するエピソードは、どれもこれもわたしの日常の延長にあった。誰もが感じたことのあるイライラ。なんとか踏みとどまった先にある修羅場。そういうものを大爆発させてくれる禁断の快感…。清々しいような、けれど肌が粟立つような、ごちゃ混ぜの笑いで顔がひきつる。ブラックユーモアの中でも限りなく漆黒。なんならテラテラ黒光り。人生って本当にスイッチの押し間違いひとつで奈落だと思う。やっぱりこの映画に他人事はひとつもない。
むむ

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