マーベル大好き

アメリカン・スナイパーのマーベル大好きのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.0
心が蝕まれていく。

イラク戦争で多くの戦果をあげたクリスカイルの自伝をクリンとイーストウッドが映画化した作品。

正義感に溢れ祖国を守りたいと願うクリスカイル(ブラッドリークーパー)は厳格な父から幼い頃から狩猟の技術を仕込まれて育った。テロをきっかけに海軍に入隊し狙撃の腕をかわれ特殊部隊シールズとしてイラクに派遣されるがイラク派遣の命令が下った日に恋人のタヤ(シエナミラー)と結婚式を挙げた。
イラク戦争で狙撃兵として戦果をあげ〝伝説〟と呼ばれるようになるが初めての任務でアメリカ軍の戦車に対戦車爆弾を使おうとした男児を狙撃することになりそういった出来事の積み重ねで少しずつ心が蝕まれていく。


戦争は人を変えてしまうというけど本当にその通りだと思う。
戦争で家族を奪われた人も、人の命を奪うことになった人も、そういった光景を目の当たりにした人も。

この主人公はアメリカのヒーローとして描かれている。それは当然アメリカの国民にとってアメリカの軍人たちの命を救ったから。
でも事実が作品の通りであったら彼は160人の敵の命を奪った。アメリカ国民やテロの被害にあった被害者の家族にとって彼らは失った家族の仇なのだから当然称えられるだろうと思う。
しかし作中のようにテロリストとの戦いによって巻き込まれ命を落とした非戦闘国民の家族にとって彼もまた仇の存在といえる。
やられたからやりかえす。報復する。
戦争は悲しみしか生み出さないというのが良く分かる作品だった。