井出

アメリカン・スナイパーの井出のネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

人は何か越しに、ものを見ているということだろう。
彼が国家に奉仕しようと決意したのは、テレビ越しの悲劇だった。テレビによって国家と、それへの帰属意識、国民性というものが生まれる。
また彼はスコープ越しに、敵を見つめる。サングラスを掛けて戦地へ行く。彼は見られることなく相手に近づくこともできるし、距離をとることもできる。見ることの操作が可能となった時代に、戦争は過激になったのかもしれない。
見ることの操作によって、新しい概念や、考え方が生まれたのだろう。その意味で、メディアの力を見せつけられる。まさに、映画というメディアを通して。
ガラス越しに娘を心配する彼の姿も印象的だった。私たちは必ず何かを通して見ていて、それが都合よく使われたり、障害と考えられたりするわけだ。
盲目、盲心もキーワードだろう。
あと悲鳴とかが印象的だったし、ブランコの金属音とか、子どもの戯れる声がこれほど不安感を煽るかなって感じだった。
途中、相手の狙撃手を打ったときにウォンテッドみたいになって面白かった。
井出

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