HK33

アメリカン・スナイパーのHK33のネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

すばらしい映画。

●一見すると伝説と呼ばれ輝かしく全能感に満ち溢れているように見えても、ミクロな世界では人の人格を変えてしまうほどの残忍さと悲しみに満ち溢れているのがアメリカの戦争でありそこで闘う兵士だということ

●祖国と家族と神のためにpatriotとして闘っていたクリスも、その動機だけではとても個人としては耐えられず、仲間の敵討ちのためと自らを奮い立たせてTour Fourに行き、ついにムスタファを撃ち殺したからこそその直後にI'm coming homeと電話したのだろう

●戦争が本当にヒトを変えてしまうことがよくわかる。Texasの典型的な白人だったクリスが、イラク派遣を経るごとに何か狂気のようなものを帯びながら変わっていく姿を演じるBradley Cooperの演技もすばらしい

●その意味でTour Fourに行く前の奥さんのI need you to be human again!という叫びを「お願い」だけで済ませている日本語字幕については欠陥と言わざるを得ない

●市民を巻き込むイラク戦争自体の悲惨さもショッキングなシーンの連続を通じて鮮明に描写されている。さすがクリントイーストウッド

●家族を残し・仲間を失い・人格が歪んでしまっても命を賭けて戦地に赴く世界、元オリンピック選手が狙撃銃を手にして自らの信じる何かのために命を賭して闘う世界と比べれば、私たちの仕事の悩みなんてものは取るに足りないものだと本気で思った
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