deepbluecream

アメリカン・スナイパーのdeepbluecreamのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.3
ハートロッカーと同じくイラク戦争をモチーフにしているのにこちらはまるで西部劇のように感じました。クリスの内面は荒野のヒーローそのもの。羊、狼、番犬の3種類しかないってどんだけピュアな正義だよ。守るべき価値も神と国家と家族だけでそれを侵すものはsavagesなのだと。イーストウッドは気高いヒーローと現実の矛盾を描こうとしたのではないか。あえて異常ともとれる愛国者として描いたことに納得しました。クリスのPTSD描写もキツイ。賞金首までかけらたのだから帰国してもいつ誰に狙われてるかと心休まらない。銃を持っていないと落ち着かないし、犬ちゃんにまで殴りかかる。日常が戦争によってどんどん塗りつぶされていき戦争からは到底逃れられそうにもない。後半ムスタファに対する執拗さも敵側の自分の鏡のような存在を殺し、もう終わりにしたかった、戦争から必死で逃れたかったように思えました。帰国後直帰せずにバーで奥さんと電話した時、どんな気持ちだったのかと思うと見てて辛かった。イーストウッドの「この映画を右だとか左だとか言ってる人達は気楽でいいですね」と言う声が聞こえてきそう。あといつもながらに、奥さんと電話するたびに涙がちょちょぎれた。
deepbluecream

deepbluecream