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アメリカン・スナイパーのdetoxのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

なにも前知識がない状態でみたので、旧世紀のアメリカ人が21世紀のアメリカとどう折り合いをつけるか(あるいはそれに失敗するか)という話かとおもい、落とし所を気にしながら観てしまったが、それにたいする答えは用意されていなかった。しかしそれがこの映画の肝だったといえる。

この映画においては、クリス・カイルというような人物の実在や、戦場やイラクの武器をもつ人々といったものを、事実の似姿として記録していこうというような、厳格な態度が貫かれている。ドキュメンタリー的であるという感想をどこかでみたがそれは的を得ていると思う。

観た人それぞれが、どこに主眼を置いた感想を抱くかによって、その人の信条や思想があらわになる。
反戦映画だと考える人もいるだろうし、英雄譚とみる人もいると思う。
アメリカ人とアメリカをよく知らない人とでは異なる感想を抱くだろう。
アメリカ人の中でも評価のベクトルがバラバラになるに違いない。

あるいは30年後にこの映画はどう観られるか、20年前のアメリカ人がこの映画をみたらどう言うか。

そういった鏡のような役割をこの映画が担っているように思う。それは図らずも、この映画が綿密につくられたものだという証左でもある。

この映画はアメリカと映画の歴史にとって重要なものとなるだろうという予感がある。アメリカン・スナイパーというタイトルもまたそれを意識している。これはアメリカを描いた映画だったのだ。

アメリカのことをもう少し学んでからまた視聴したい。
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