一時帰国すればどこにでもいそうな平凡パパも派遣先のイラクでは多数の敵を闇に葬った凄腕スナイパー。対峙する反米武装ゲリラには年端もいかない少年兵も…。派遣が重なるごとに精神が追い詰められて重いPTSDに苦しめられます。
ブッシュが始めたイラク戦争。この戦争で数多くの仲間を救ったアメリカ海軍の特殊部隊ネイビーシールズ所属の隊員の話。自叙伝を映画化したクリント・イーストウッドの作品です。
レジェンドなベテラン兵士を英雄扱いせず、あえて悩みを抱える不完全な人間として描いたのでしょうか。より身近な人の話のように感じました。スナイパーのお話というよりアメリカが始めた戦争の闇の話。戦争英雄を題材に愛国心掻き立てることをしないイーストウッドのスタンスがうかがえます。
反米武装ゲリラが潜む市街の巡廻シーンはいつどこから撃たれるかわからない緊迫感に満ちていて、戦争の怖さがひしひしと…。そんな状況でも冗談言い合える神経がすごいですね。
強くて優しい愛されキャラな英雄を演じるのはブラッドリー・クーパー。役作りのために体を作り上げたようで、ひとまわり大きく見えました。
