えみ

アメリカン・スナイパーのえみのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
3.5
重かった。純粋な愛国心で、イラク戦争時米兵の「守護神」として闘っていた一兵士のノンフィクション。
戦争賛美作品との批判も公開時はあったとのことだが、そうは解釈できなかった。かと言って、戦争は絶対だめだ!という明白なメッセージ性があるわけではない。淡々と、主人公の壮絶な生涯を客観的に描いた作品だと思う。
国を守るために、人を殺し続けているはずだった。でも送り込まれた兵士たちは皆、命の危険にさらされ、腕や目を失い、心を蝕まれた。自分たちは、何から国を守っていたのか、根本的な問いに答えを見いだせないことに気付いたら最後、大義を失った彼らの精神は平穏を保てなくなるのだろう。イラク戦争の正当性が今でも疑われているが、結局、戦争で救われ、解決されることなんて何も無いということ、そのただ一つの真実だけが、生々しい映像と、残酷な結末と共に思い知らされる。

ーーーーネタバレーーーー



最後の追悼パレードのシーンを見ながら思う彼は本当に称えられるべき人だったのか?それとも彼は国の被害者で、哀れまれるべき人なのか?はたまた罪のない人々を殺した罪人か?
結局誰しもを被害者にし、加害者にしてしまう、非人道の極みが戦争なんだ。
えみ

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