かわうそ

私の少女のかわうそのネタバレレビュー・内容・結末

私の少女(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

不法滞在外国人をこき使う過疎の漁村に、何らかの事情で左遷されてきた性的マイノリティのエリート警察官が、DV親に虐待される子供と出会って、、と、これだけでもおなか一杯になるくらい暗いテーマがてんこ盛りの作品。


閉鎖的で高齢化した田舎で唯一のヤングマンとその母親が暴君として君臨している。
暴君母は警察のいうことを聞かずにバイクで暴走。
暴君息子は酔って元妻の連れ子(ドヒ)をボコボコ蹴る。

そこに赴任してきた若き女所長がレズビアン。
暴君親子と衝突するが、暴君母は海岸で謎の死。
ドヒをDVから守るため、所長の家に一時的に引き取る。
そこにソウルから元カノがやって来て痴話げんか。

暴君息子は相変わらず好き放題で、外国人労働者を人権無視で酷使。
所長は毅然と対応するが、様々な嫌がらせを受け、暴君の陰謀により児童虐待の疑いで逮捕される。

ところがドヒが身体を張って所長を救い、今度は暴君が逮捕されることに。
釈放された所長は娘を連れて村を出るが、暴君母を殺したのが孫娘だと知る。。


というストーリーだけど、モヤモヤが残る。

一つは、孫娘の処遇はこのままでいいのか。
他に余罪がありそう(すべてがDVによる被害だけではなく、自傷行為も少なくなさそうだし、何らかの悪知恵で悪事を働いていそう)なのも気になる。
暴君母子が「悪知恵を働かせてほっつき歩いている」って言っているのも、ただの言いがかりじゃなくて何かあったのだろう。
警察の事情聴取でも軽々と大人たちを手玉に取っているくらいだから、暴君母子なんてちょろいものだろうし。
となると、実母が出て行った本当の理由も、、などなどどんどん疑い深くなってしまう。
所長さんも半分騙されてるようなもんだし。

もう一つは所長さんのアル中。
この飲み方なら相当ひどいのだと思う。
一度とは言えドヒのことも叩いているし、本当にこの二人が一緒に出ていく展開で大丈夫なのかしらと。
警察官なのに、祖母を死に至らせ、父を刑務所送りにしたことに目をつぶっているなんて、小娘に手玉に取られちゃってて心配だなと。

ポスターにそれらの心配がはっきり表れていてゾクッとしますよね。。


ともあれ、この女性二人の演技が抜群に良い。
所長さんが捕まったときに取り調べを受けるシーンでは、『秘密の森』での中の悪い同僚ということを思い出してニヤニヤしてしまった。

元タイトルの『ドヒヤ』も良いが、これを『私の少女』と訳したのは絶妙。
珍しく、よくできた日本語タイトルだと思う。
かわうそ

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