尿道流れ者

私の少女の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

私の少女(2014年製作の映画)
3.6
封鎖的で排他的、陰湿かつ残酷。そんなイメージがすっかり定着した「村」という空間。この映画の村はそういったイメージで語られる古めかしく悲劇的なものとしてある。そこで1人の少女と左遷にあった酔いどれレズビアンポリスの出会いがあって、それは一見穏やかでエロティックでもあり、良いものだが、浄化作用を持たない村に訪れた破滅にも近い浄化の引き金でもあった。どこかおとぎ話のような雰囲気で、ジブリを思わせる海辺の田舎町など、視覚的には安らぎをもたらすものの、中身はとてもダーク。

穏やかな空気感がとても心地よく流れるが、時折現実の煮詰まったエグみが舌を焼く。夢のようなという言葉はありふれた表現として溢れているが、この映画はそんな言葉が比喩としてではなく、ただ近いものがそれだけだったという感じで引き合いにだされる。美しいものではないが馴染んでしまう風景があり、望ましいものではないが悪くはない。そんな心持ちに身を委ねていると、突然鋭角な現実に後頭部を付かれて目を覚ます。あぁやっぱり夢かと誰にいうでもなく身体を起こす。身体は重い、やっぱり。そんな倦怠感まで夢のようで。

少女は一つの受け皿だったのかもしれない。男も女も、少女という世間的に弱い身分を受けとめているふりをして、自分を受けとめてもらっていた。しかし、いつかは受け皿から溢れ出し、全てが跳ね返ってくる。

怖さもいやらしさも切羽詰まって迫ることのない、突き放した距離感が凄く良かった。見終わった後、ほわーんとしちゃう。