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人が人を愛することのどうしようもなさのkoyamaxのレビュー・感想・評価

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石井隆監督の映画って、
「人が人を愛する事のどうしようもなさ」を描く話し多いよね。
とか。

石井隆を語る時に出てきがちなフレーズだったりして、
そういう論評とか文章も見ました。
実際使うとこっ恥ずかしい気がしますがね、、

まさか、
それを自らのタイトルにするとは^^;

お話は、、
ノーパンで電車の座席に座り込み、
それを向かいのカップルに見せつけながら、
過剰なメイクを施すことで、真実の己を晒す話。。。(いや他にもありますが。。)

もとい、
夫からの愛を得られない女優が、娼婦になったり、虚実がないまぜになった混沌の中、心の隙間を埋め、魂の真の解放を求める様をR18で描きます。


女優の話なので劇中劇というのが結構なモチーフで出るのですが、、
それが、
雨の中のネオン。
壮絶な暴力とエロスの地獄巡り
男と女のすれ違う想い。
その果てにある純な愛。

「夜がまた来る」のプロットがそのまんまつかわれていたりとか、
石井隆ってこうだよね。という展開を相対化しています。

若干自己言及的な感じがあるので、
監督作を語るときの世評の一言をタイトルに使うのはまあ、納得。


喜多嶋舞が体当たり演技ですね。(ちなみにR18です)
パブリックイメージとしてあまりいい印象がなかったのですが、
女優という設定がよかったのでしょうか。
高慢でプライドの高く、気の強いながらも
孤独感を醸し出す、彼女の良さが思いのほか出ていた気がします。(褒めてます;)

そして、石井監督といえば、
村木と名美。
抑圧され、決して結ばれる事はない状況下の中、お互いの想いを感じる切なさ。
みたいなところが原点とおもっていたので、

2000年代に入ってからの𥶡が外れたような、目の前のエロと暴力をとりあえず撮るみたいな深みの無さばかり感じてからあまり観なくなってしまったのですが、

ここではそういった過去のシリーズをふまえた上で、徹底的にエロと肉体を描きながら、心を救うとはなにかみたいな、少し違う次元での新しいテーマを感じました。

80年代、90年代の石井作品と少し趣は違いますが、これが、2000年代の石井映画のあり方という感じが垣間見えました。

電車の自己解放シーンは秀逸で久々に声を出して笑いましたよ。。
いや、すごい笑
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