OASIS

ブーメランファミリーのOASISのレビュー・感想・評価

ブーメランファミリー(2013年製作の映画)
3.0
ぐうたらな兄と暮らす祖母の家へ、売れない映画監督の弟と男運の無い妹が戻って来て一家が再び勢ぞろいするという話。
パク・ヘイル主演のホームコメディ。

自ら望んで出て行ったにも関わらず、恥ずかしさを感じながらも家に帰ってくるにはそれなりの理由があるわけで。
それぞれが抱えた理由が家族の食卓で明らかになっていき、秘密がすっきりと無くなった所で改めて家族の絆を再確認するような実に手堅いホームドラマでありつつも、そこにデフォルメされたキャラクター達と大袈裟なギャグ、少しのバイオレンスが加わって韓国映画らしさを感じさせる作品だった。

前半と後半とのぐうたら兄のギャップは特に良い。
その分、主演のパク・ヘイルが食われてしまっている気がするが、兄を思う故の見せ場もあり思わぬ兄弟愛に少し心が熱くなる。
一見何も悩みが無い様に見えた母にも捻りが効いた裏話があって、そのえげつなさにも韓国の貧困家庭の闇を見る事が出来る。

ただ、一人一人にスポットを合わせる形なのでどうしても長くなりがちな上、行きつく先の答えも説得力に欠けるような気がした。
巣立った筈の子供達が戻ってきて、何かに気付いて再び去っていく、正に「ブーメラン、そしてブーメラン」な状態だから家に帰ってくる意味はあるのだが、自分の道は自分で切り拓くのだと当たり前な事を言われても困る。
たとえ西城秀樹が彼らに「きっとあなたは戻って来るだろう」と言ったとしてもあんな衝撃的な秘密を打ち明けられた後では「いや、戻って来なくていいからそれぞれ勝手に生きていくべきだろう」と思わずにはいられないだろう。

強烈な印象を残すシーンは無く熱量も薄いが、家族関係を強く感じさせる描写として欠かせない食事シーンには抜かりが無かったのは流石と言うべき。

@シネ・リーブル梅田
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