テリーマザーファッカー虎

SAYAMA みえない手錠をはずすまでのテリーマザーファッカー虎のレビュー・感想・評価

3.7
50年もの間自らの冤罪を訴え続ける、狭山事件の石川さんを追ったドキュメント。

全く開示されない証拠やでっち上げを疑ってしまう不可解な捜査など少なくともこの映画を通しては明らかに冤罪だろうにも関わらず、2021年現在でも殺人犯として扱われているこの現状はあまりにも酷い。
獄中にいる間にご両親が亡くなったり、やってもいない事件で逮捕されたのに自分のことを「親不孝物だ」と言い続ける石川さんの姿はあまりにも痛々しかった。

ただそんな石川さんを支えるパートナーだったり「殺人犯の家族」と揶揄されても自分の弟を信じて戦っているお兄さんだったりと孤独ではないのが良かった。
あくまで前向きに自分の無実を主張していく様子はカッコ良さも感じてしまった。

同じく冤罪を背負わされた仲間が遂に無罪を勝ち取る場面での石川さんの表情や「本当にやっていなくても無罪を主張することがどんなに大変か」と語る彼らの様子など映像として印象に残る場面が多くあったのも素晴らしかった。

そして事件の根底に部落差別があったのではないかという部分は色々と衝撃的だった。石川さんと同じく被差別部落に生まれたパートナーの話しもちょっとびっくりしてしまいました。