イチロヲ

VHSテープを巻き戻せ!のイチロヲのレビュー・感想・評価

VHSテープを巻き戻せ!(2013年製作の映画)
4.0
家庭用ビデオ「VHS」がもたらした影響力を、リアルタイム世代のインタビューをもとに再追求している、ドキュメンタリー作品。レア映像を掘り起こしているオタクと低予算作品の製作に携わっているプロの両視点から、ビデオの普及現象を回顧していく。

冒頭部では、底なしのビデオ沼に嵌ったオタクたちの熱いインタビュー集が展開。取材に答えるナードの部屋に、大林宣彦監督「HOUSE」のポスターが登場する。「2本組のタイタニックは、どこにでも売ってる」は世界共通の絶対普遍。

「映像作品をソフト販売する」という概念が薄かったところに、ついと現れたVHS規格。日本が重要な位置づけにあるため、日本の業界人たちもインタビューに答えている。そして、日本企業こそがムーブメントの波乗りに長けていたことを痛感させられる。

終局に入ると、VHSに助けられてきたオタクと業界人たちが、コレクター精神の衰退とVHS規格の寿命を憂えていく。VHS止まりになっている作品が、あらゆる場所に埋もれている現状・・・オタクの苦悩は続くよ、どこまでも。
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