ぶみ

ブラインドのぶみのレビュー・感想・評価

ブラインド(2011年製作の映画)
3.5
美しき視覚障害者を襲う極悪連続暴行魔!

アン・サンフン監督、キム・ハヌル主演による韓国製作のサスペンス。
偶然ひき逃げ事故に居合わせた盲目の主人公が、事件の目撃者である青年とともに、事故の捜査を発端に、女子大生失踪事件の真犯人と対峙する様を描く。
本作品は、2015年に同じくサンフン監督、ヤン・ミー主演により中国で『見えない目撃者』(英題:The Witness)として、また、2019年には森淳一監督、吉岡里帆主演により『見えない目撃者』として日本でリメイクされた作品のオリジナルにあたるものであり、いずれのリメイク作品も鑑賞済み。
主人公となる視力を失った女性スアをハヌル、スアが出くわしたひき逃げ事故を目撃したという青年ギソプをユ・スンホ、事件を追う刑事チョをチョ・ヒボンが演じている。
物語は、序盤はスアが視力を失っているにもかかわらず、事件を目撃したとして警察に協力する様が、中盤からは、そこに実際に目撃したというギソプが加わることから、バディものとして展開することとなり、これは、大枠としては、中国版、日本版も同じ。
ただ、中国版は、監督が同じということもあり、ほぼ完コピとも言えるような内容となっており、序盤から犯人の顔が明かされ、いかに犯人から逃げるか、そして追い詰めていくかに主眼が置かれているため、所謂倒叙ミステリのスタイルとなっているのに対し、日本版は、細かな設定が異なっているとともに、終盤まで真犯人が誰かがわからない王道ミステリとなっているのが大きな違い。
これは、キム・ソンフン監督による韓国映画『最後まで行く』の中国版、フランス版リメイクがオリジナルに忠実であるのに対し、日本版リメイクが、かなり独自の要素を盛り込んでいるのと同じ様相となっている。
本作品も、『最後まで行く』同様、どちらが好きかは、もはや好みの問題であり、オリジナル、リメイクどちらも、それぞれの面白さがあるのは素晴らしいところ。
そのため、私的には、日本版、オリジナルである本作品の順で好みであり、中国版が少し劣るかなと思うとともに、主演であるハヌルの雰囲気からすると、日本版の主人公は、木村文乃か有村架純もアリだったかなと感じた一作。

本当の障害は、心の中にある。
ぶみ

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