垂直落下式サミング

劇場版 K MISSING KINGSの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

劇場版 K MISSING KINGS(2014年製作の映画)
3.5
ネカフェで人生をサボってる時間に、まったく知らないアニメの劇場版をみる。知らない固有名詞、お馴染まないキャラクターたち、テレビシリーズで退場したと思われる重要人物の回想など、初っぱなからファンと未視聴勢との埋ようのない差に覚悟を決める。知らないものを頑張って理解しようとする脳の運動はいい目覚めになった。
開幕の戦いが一区切りしてから、脅威のカメラアングルでパンチラをみせられてビックリ。視覚的なセクシュアルで満足させていく深夜アニメのストロングスタイルを継承。さらに目が覚める。
ともあれ、見物はスピーディな剣劇が見物のアクション作品だ。細身のイケメンが宙を舞ったり刀剣をふるったりする姿が妙にコケティッシュで、人物のからだの動きやその見せ方に独特のこだわりを感じた。特にスケボーを魚眼レンズでとらえた演出はクールだと思う。
僕としては、映画版で初登場したと思われる「緑のクラン」が特に魅力的にみえた。そりゃそうだよな。テレビシリーズから出演していた人たちは、視聴者は知ってる前提で軽く触れる程度だが、今回お初にお目にかかる新規キャラクターは、その設定や相関図までしっかりと説明される。劇場版から入ると推しキャラが映画初登場の人になりがちなのはこういうワケだ。推すなら知らない人より知ってる人の方がいい。
紫ちゃんは、強くて美形でオカマ口調の中性キャラっていう新しい感じが好きだし、御芍神紫(みしゃくじゆかり)って名前のいかがわしさがもうそれだけで格好いい。それに彼は主人公の身内で剣術の兄弟弟子の関係にあり、その過去については言葉では言い尽くせない因縁があるらしい。ラストバトルの「アタシの剣にはアタシのすべてが乗せられてるわ」からのセリフはヘッドホン推奨。バイノーラルで耳が孕む。この人の夢女として生きたい。
緑のクランNo.2と思われた忍者が、実は三下で組織に使い捨てられてしまう展開も悲劇的で好きだ。実は女の子だった忍者ちゃん。捕まって酷いことされてないか心配。拷問をはじめる前は「お前たちには屈しないぞ」とイキってみせた生意気な顔は徐々に苦痛に歪んでゆくのである。許せねえな。pixiv漁るか。