エメチン

フレンチアルプスで起きたことのエメチンのレビュー・感想・評価

4.3
極限状態で家族より自分の命を優先してしまったことで、その弱い自分に苛まれ続ける男のブラックコメディ。トマスを演じるヨハネス・バー・クンケの演技が素晴らしく、ホテルで出会った男女がいる部屋で奥さんに詰められているときや、息子の隣で自分についての会話を聞いているときの目が座ってしまっている顔が絶妙だった。ついに理想の男・父親足り得なかった自分を認め家族に慰められることはトマスにとって自己嫌悪を加速させているようにも考えられるが、同時にその光景は家族というコミュニティの良き在り方にも思える。終盤エバを助けにいくシーンは、この旅行での経緯で「守る・助ける」ということに執着しすぎた結果、結果として子どもたちは放置して危険に晒しているようにも見えた。
エメチン

エメチン